企業の業務効率化や人件費削減の手段として注目されている「アウトソーシング」。
近年では大企業だけでなく、中小企業や個人事業主の間でも導入が進んでいます。
この記事では、アウトソーシングの意味や仕組み、派遣との違い、メリット・デメリットを会計の専門家の視点からわかりやすく解説します。
アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、自社で行っている業務を外部の専門業者に委託することを指します。
英語の「out(外へ)」と「source(資源・業務)」を組み合わせた言葉で、「業務の外部委託」と訳されます。
もともとはアメリカ企業が競争力を高めるために導入した経営手法で、現在では日本企業でも一般的になっています。
特に、経理・人事・総務・IT・コールセンターなど、管理部門業務での導入が多い傾向があります。
アウトソーシングの仕組みと活用例
アウトソーシングでは、企業が自社で行っていた業務の一部を専門業者に依頼します。
委託先は業務の遂行責任を負い、成果物を納品する形で契約が成立します。
たとえば、次のような場面で利用されます。
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経理処理を会計事務所に委託する
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給与計算を社労士事務所に依頼する
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コールセンター業務を専門業者に任せる
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システム開発をITベンダーに発注する
このように、社内で行うよりも専門性が高く効率的に処理できる業務を外部化するのが一般的です。
アウトソーシングと派遣の違い
アウトソーシングと派遣は混同されやすいですが、業務指示を出す相手が異なります。
項目 | アウトソーシング | 派遣 |
---|---|---|
雇用関係 | 委託先業者の従業員 | 派遣元会社の従業員 |
業務指示を出すのは | 委託先企業(受託側) | 派遣先企業(受入側) |
契約形態 | 業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
成果責任 | 委託先が負う | 派遣社員本人が業務を遂行 |
つまり、アウトソーシングでは成果物や業務全体の責任は外部業者が負うのに対し、
派遣では企業の指揮命令下で働く労働者を派遣してもらうという点で異なります。
アウトソーシングのメリット
アウトソーシングには、企業の経営効率を大きく高める効果があります。
代表的なメリットは次の4つです。
1. 人件費のコスト削減
正社員を雇うよりも人件費・社会保険料などの固定費を抑えられます。
繁忙期だけ利用することで、必要なときに必要な分だけコストをかけることが可能です。
2. 採用・教育コストの削減
新たに人材を採用して教育する必要がないため、時間とコストの節約につながります。
即戦力を外部から調達できる点も魅力です。
3. 専門スキルの活用
専門知識や高度なスキルを持つ業者に委託することで、業務の品質を向上させることができます。
特に経理やIT分野など、専門性の高い業務で効果を発揮します。
4. 人員配置の柔軟化
業務量の変動に応じて人員を調整できるため、経営資源をコア業務に集中させることができます。
アウトソーシングのデメリット
一方で、注意すべきリスクやデメリットもあります。
1. 業務の可視性が下がる
外部委託によって業務の進捗が見えにくくなり、社内での管理が難しくなる場合があります。
2. 競争力低下の可能性
自社で行っていた業務を外部に任せることで、独自のノウハウが失われるリスクがあります。
3. 社内にノウハウが蓄積されない
業務を任せきりにすると、担当者の知識やスキルが育たないことがあります。
4. 情報漏えいリスク
外部業者に社内情報を共有する必要があるため、情報管理体制が不十分だと漏えいの危険が生じます。
5. コストが逆に増えるケースも
委託契約の内容によっては、修正対応や追加業務が発生し、結果的にコスト増となることもあります。
アウトソーシングを成功させるポイント
アウトソーシングを効果的に活用するためには、次の3つのポイントが重要です。
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目的を明確にする
コスト削減なのか、業務効率化なのか、目的を明確にしたうえで委託範囲を決めましょう。 -
信頼できる業者を選定する
実績・対応スピード・情報管理体制などを事前に確認し、契約前に十分な打ち合わせを行うことが大切です。 -
定期的なモニタリングを行う
業務報告や成果物を確認し、契約通りに遂行されているかをチェックしましょう。
まとめ
アウトソーシングは、業務効率化やコスト削減に大きな効果を発揮する一方で、
管理の難しさや情報流出のリスクもあるため、導入には慎重な検討が必要です。
経理や給与計算などのルーティン業務を外部委託し、コア業務に集中することで、
企業全体の生産性を高めることができます。
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