企業が複数の事業を展開している場合、それぞれの事業がどれだけ利益を上げているかを示すことは重要です。
その判断材料として使われるのが「セグメント情報」です。
この記事では、会計初心者でも理解できるように、セグメント情報の概要から実務での考え方までやさしく解説します。
セグメント情報とは?基礎からやさしく理解
セグメント情報とは、企業の財務情報を事業単位(セグメント)に分けて開示する情報のことです。
上場企業の有価証券報告書などで、以下の項目をセグメントごとに示します。
-
売上高
-
利益・損失
-
資産
-
その他の重要な財務情報
▼ なぜセグメント情報が必要なのか?
企業が複数の事業を持つと、通常の財務諸表だけでは「どの事業が儲かっているのか」分かりにくくなります。
例えば、製造は親会社、販売は子会社が行っている場合、単独の損益計算書では実態が見えにくいからです。
そのため、事業単位で収益性や成長性を可視化するために、セグメント情報の開示が求められるのです。
セグメント情報の考え方:親会社と子会社も事業単位でまとめる
セグメントを事業単位で考える場合、企業グループの「組織の枠」を超えて判断する必要があります。
● 親会社+子会社でも、同じ事業なら同一セグメント
例:
-
親会社:A製品を製造
-
子会社:A製品を販売
この場合、両者は同じA事業に関わるため、同一セグメントとして扱います。
● 社内取引も「セグメント間取引」として集計
親会社の事業部間で行われたやり取りは、単独決算では消去されますが、セグメント情報では次のように扱われます。
-
親会社A製造部 ⇔ 親会社B事業部
-
親会社B事業部 ⇔ 子会社
これらは セグメント間取引 として計上され、事業単位の収益性をより正確に示すことができます。
インダストリー・アプローチとマネジメント・アプローチ
■ インダストリー・アプローチ(旧基準)
-
業種や事業分類に応じて一律に区分
-
外部基準に合わせた形での開示
■ マネジメント・アプローチ(現行基準)
平成22年以降、日本の会計基準は マネジメント・アプローチ に移行しました。
これは、
経営者が実際に事業をどのように管理しているかという視点に基づいてセグメントを区分する方法 です。
メリットは以下の通り:
-
経営管理と財務情報の視点が一致する
-
投資家が企業の実態をより理解しやすくなる
-
将来のキャッシュフロー予測にも役立つ
経営者が意思決定や業績評価に使用している管理資料と整合性が求められるため、より企業の実態に即した開示になります。
まとめ:セグメント情報は「事業の実力」を伝える重要な開示情報
-
セグメント情報は、企業の財務情報を事業単位に分けて示す開示情報
-
親会社・子会社をまたぐ場合も、同じ事業なら同一セグメント
-
現行は「マネジメント・アプローチ」により経営者の視点に合わせて区分
-
事業別の収益性や成長性の分析に役立つ
複数事業を持つ企業の財務内容を理解するには欠かせない情報であり、投資家・経営者どちらにとっても大きなメリットがあります。
こちらもご覧ください

