企業が事業を続けるうえで、設備投資や運転資金の確保のために外部から資金を調達することは少なくありません。
その代表的な方法が「借入金」です。
この記事では、借入金の基本的な意味から種類、仕訳方法、そして経営上のメリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。
借入金とはどんな勘定科目?
借入金とは、金融機関や取引先など外部からお金を借りた際に発生する債務を指します。
貸借対照表上では「負債の部」に計上され、返済までの間は企業の義務として残ります。
融資を受けた場合、資産である「普通預金」と、負債である「借入金」の両方が増加します。
返済時には元本と利息を分けて処理し、利息部分は「支払利息」として営業外費用に計上します。
借入金の主な種類
1. 証書貸付
金銭消費貸借契約証書を交わして融資を受ける方法で、最も一般的な借入形態です。
2. 手形貸付
借り手が銀行に約束手形を振り出し、その金額分を融資として受ける方法です。短期資金の調達によく使われます。
3. 手形割引
受け取った他社の手形を銀行に買い取ってもらい、期日前に資金化する方法です。
4. 当座借越
あらかじめ設定した限度額の範囲で、必要なときに自由に借り入れ・返済できる方式です。
柔軟性が高い一方で、金融機関の審査は厳しくなります。
長期借入金と短期借入金の違い
借入金は返済期間によって2つに区分されます。
-
短期借入金:1年以内に返済する債務(流動負債)
-
長期借入金:1年を超えて返済する債務(固定負債)
たとえば6,000万円の融資を受け、そのうち1,200万円を1年以内に返済する場合、1,200万円は短期借入金、残り4,800万円は長期借入金として処理します。
借入金に関する仕訳例
① 借入金を受けたとき
銀行から6,000万円を融資として受け取り、普通預金に入金された場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 6,000万円 | 短期借入金 | 1,200万円 |
| 長期借入金 | 4,800万円 |
② 利息を支払ったとき
利息1万円を普通預金から支払った場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払利息 | 1万円 | 普通預金 | 1万円 |
③ 借入金を返済したとき
元本100万円と利息1万円を普通預金から返済した場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 短期借入金 | 100万円 | 普通預金 | 101万円 |
| 支払利息 | 1万円 |
④ 決算時の振替仕訳
来年度に返済予定の1,200万円を長期借入金から短期借入金に振り替える場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 長期借入金 | 1,200万円 | 短期借入金 | 1,200万円 |
借入金のメリットとデメリット
メリット
-
資金繰りに余裕ができる:短期的な資金不足にも柔軟に対応できる。
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将来への投資が可能:長期資金を活用して設備投資や新事業に取り組める。
デメリット・リスク
-
返済負担が生じる:毎月の返済が資金繰りを圧迫する可能性。
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信用リスク:返済遅延は金融機関からの信用を失う原因になる。
借入前には返済計画を慎重に立て、返済能力に見合った融資を受けることが重要です。
まとめ
借入金は、企業が事業を発展させるための重要な資金調達手段です。
短期借入金・長期借入金の区別や仕訳の処理を正しく行うことで、財務状況を正確に把握できます。
また、過度な借入は資金繰りを悪化させるリスクもあるため、適切なバランスと返済計画が欠かせません。
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