加算税とは

加算税とは?種類と納付義務をわかりやすく解説

加算税とは、所得税・法人税・相続税など、国税の申告納税制度や源泉徴収制度において、申告や納付が正しく行われなかった場合に、本来納めるべき税額に追加して課される税金です。行政制裁的な性格を持ち、納税義務を適正に履行させるために設けられた制度です。地方税では「加算金」と呼ばれることもあります。

この記事では、加算税の種類や計算の仕組み、納付義務のポイントを初心者にも分かりやすく解説します。

加算税の種類

加算税には大きく分けて4種類があります。

1. 過少申告加算税

過少申告加算税は、期限内に申告書を提出したものの、税務署の更正や修正によって申告額が不足していた場合に課される税です。

  • 基本の加算税率:不足額の10%

  • 一定条件を超える部分:さらに5%

  • 正当な理由や更正を予見できなかった修正の場合は適用されません

具体例:申告した所得税が50万円不足していた場合、10%の5万円が加算され、さらに条件に応じて追加で5%が課されます。

2. 無申告加算税

無申告加算税は、法定期限内に申告を行わなかった場合に課されます。

  • 原則:50万円まで15%、50万円超はさらに5%加算

  • 期限から2週間以内に申告した場合や正当な理由がある場合は不適用または5%に減額

例:所得税の確定申告を期限後に行った場合、税額に応じて無申告加算税が加算されます。

3. 不納付加算税

不納付加算税は、源泉徴収税額を法定納期限までに納付しなかった場合に課される税です。

  • 原則:未納付税額の10%

  • 正当な理由や期限から1か月以内に納付した場合は不適用

  • 自己申告の場合は5%に減額可能

例:従業員の給与から源泉徴収した所得税を期限までに納付しなかった場合に適用されます。

4. 重加算税

重加算税は、申告書で虚偽の記載や隠蔽を行った場合に課される加算税です。

  • 期限内申告の場合:追加本税の35%

  • 期限後申告の場合:無申告加算税の代わりに40%加算

重加算税は、意図的な脱税行為に対する最も重い加算税として位置づけられます。

加算税の納付義務

加算税は、賦課決定通知書または納税告知書が発行された日の翌日から1か月以内に納付する必要があります。

加算税の対象となる行為は、単なる申告漏れや納付遅延にとどまらず、脱税や無申告、源泉徴収義務違反など、税務上の重大な不履行行為に関連します。違反が悪質な場合は、刑事罰が課されることもあります。

まとめ

加算税は、納税者が税務義務を正しく履行することを促すための重要な制度です。

  • 過少申告加算税は申告不足に対して課される

  • 無申告加算税は期限内申告をしなかった場合に課される

  • 不納付加算税は源泉徴収税を納期限までに納付しなかった場合に課される

  • 重加算税は虚偽・隠蔽など悪質な場合に適用される

正確な申告と期限内納付を心がけることで、加算税のリスクを回避できます。特に法人や事業主の方は、源泉徴収義務や申告義務を確認し、適切な税務処理を行うことが重要です。

さらに参照してください:

課税仕入とは?消費税の仕入税額控除の仕組みをわかりやすく解説