企業のニュースを読んでいると「取締役」「代表取締役」「取締役会」などの言葉をよく目にしますよね。でも、実際に取締役がどんな役割を持っていて、どう会社を動かしているのかは意外と知られていません。
この記事では、会社法のルールや実務での扱いを踏まえて、「取締役とはどんな存在なのか」を初心者にも理解しやすく解説します。
企業経営や会計の基礎を押さえたい人にぴったりの内容です。
取締役とは?会社の意思決定を担う中心的な役職
取締役とは、企業の業務執行に関する意思決定を行い、対外的に会社を代表する役職のことです。
すべての株式会社は少なくとも1名の取締役を置くことが義務づけられています。
株主が会社を「所有」している一方で、実際に企業を動かすのは経営層です。この役割を担うのが取締役であり、所有と経営の分離を支える中心的な存在と言えます。
取締役はひとりで重要事項を決めることはできない
取締役は経営の責任者ですが、重大な経営判断を個人の判断だけで決めることはできません。
重要な意思決定は原則として取締役会で行われます。
・取締役会は3名以上の取締役で構成
・会社の基本方針、重要な業務判断、人事などを決定
・取締役は個人ではなく「合議体の一員」として働く
つまり、経営判断はチームでチェックしながら決められる仕組みになっています。
新会社法で取締役会は「任意設置」に
2006年5月に施行された新会社法により、取締役会は必ず設置しなければならないものではなくなりました。
そのため、会社の機関設計によって取締役の役割や権限は大きく変わります。
取締役会がある会社
・取締役は「意思決定機関の一員」
・業務執行は代表取締役や執行役が行う
・重要事項は取締役会で決定
取締役会がない会社
・取締役自身が業務執行も担当
・代表権を持つ取締役が会社を代表
・少人数の会社ではこの形が多い
つまり、取締役がどこまで決定できるかは会社の機関構成によって異なるということです。
「社長」「専務」などの肩書きは会社独自のもの
会社には「会長」「社長」「専務」「常務」などの役職名がありますが、これらは法律上の呼び方ではありません。
法律上はあくまで「取締役」であり、取締役同士に上下関係はないというのが原則です。
実務では序列が存在することが多いですが、こうした上下関係が強すぎると、
・監査役が業務を監査しづらい
・取締役間のチェック機能が働きにくい
といった問題も生じます。
まとめ:取締役は会社経営の中核を担う存在
取締役とは、企業の業務執行に関する重要な判断を行い、外部に対して会社を代表する役職です。
会社法上必ず設置しなければならず、企業の意思決定やコーポレートガバナンスの中心的な役割を果たします。
ただし、取締役会の有無によって権限や立場が変わるため、会社の機関構成を理解することが大切です。
さらに参照してください:

