「預金利息が入金されていたけど、仕訳はどうすればいいの?」「受取利息って営業収益になるの?」
そんな疑問をお持ちの経理担当者や個人事業主の方も多いでしょう。
この記事では、受取利息の基本から仕訳例、税金(源泉徴収)の計算方法まで、会計の専門家がやさしく解説します。
簿記初心者の方にもわかりやすい内容ですので、安心して最後までご覧ください。
🔹 受取利息とは?意味と概要
受取利息とは、金融機関に預けた預金や、他社・従業員などに貸し付けたお金から得られる利息収入のことをいいます。
利息というのは、基本的に「お金を貸した側」が受け取る報酬です。
たとえば会社が銀行に100万円を預けて利息をもらう場合、その利息収入が「受取利息」となります。
💡ポイント:
「利子」と「利息」は日常的に混同されますが、一般的に
お金を借りた側が支払うのが「利子」
お金を貸した側が受け取るのが「利息」
と覚えておくと整理しやすいです。
🔹 勘定科目:受取利息はどこに分類される?
受取利息は、営業外収益(非営業収益)に分類されます。
つまり、本業の売上ではなく、資金運用などから得られる「金融収益」です。
主な勘定科目の分類
内容 | 勘定科目 | 区分 |
---|---|---|
銀行預金の利息 | 受取利息 | 営業外収益 |
他社への貸付金の利息 | 受取利息 | 営業外収益 |
社債などの利息 | 有価証券利息 | 営業外収益 |
株式からの配当 | 受取配当金 | 営業外収益 |
※決算書上では「受取利息」「有価証券利息」「受取配当金」をまとめて「受取利息配当金」と表示する場合もあります。
🔹 受取利息の計算方法
受取利息は、元本 × 利率 × 期間で求めます。
一般的には「単利」または「複利」で計算されます。
【例1】単利の場合
-
預金額:1,000,000円
-
年利:1%
-
期間:1年
計算式:
1,000,000円 × 1% = 10,000円(税引前)
【例2】半年複利の場合
半年ごとに利息が元本に組み入れられます。
半年後の利息:1,000,000 × 1% × 6/12 = 5,000円
1年後の利息:1,005,000 × 1% × 6/12 = 5,025円
合計:10,025円(税引前)
→ 同じ1%でも、複利のほうが利息はわずかに多くなります。
🔹 受取利息にかかる税金と源泉徴収
受取利息には、**所得税および復興特別所得税(15.315%)が源泉徴収されます。
個人の場合はさらに地方税利子割(5%)**も課されるため注意が必要です。
▶ 個人の場合
課税率:15.315%(所得税)+5%(地方税)= 20.315%
例)源泉後の入金額が200円だった場合
200 ÷ (1 – 0.20315) = 251円(税引前)
源泉税額:約51円(=所得税38円+地方税13円)
この場合の仕訳:
▶ 法人の場合
法人は地方税利子割がないため、15.315%のみが源泉徴収されます。
例)源泉後の入金額が200円だった場合
200 ÷ (1 – 0.15315) = 236円(税引前)
源泉税額:約36円
仕訳:
※源泉所得税は、法人税計算時に「前払税金」として控除可能です。
🔹 仕訳方法のまとめ
区分 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|
個人 | 預金 200円 / 事業主借 251円 | 所得税(事業主貸)51円 | 普通預金利息 |
法人 | 預金 200円 / 受取利息 236円 | 法人税等 36円 | 普通預金利息 |
💬補足:
源泉徴収後の金額(入金額)だけを記帳する「純額主義」もありますが、原則的には税額を明示する「総額主義」で仕訳するのが望ましいです。
🔹 よくある間違い・注意点
-
「受取配当金」と混同してしまう
→ 利息は「約定された固定利率」、配当は「業績に応じた変動額」。 -
源泉徴収後の金額だけ記帳してしまう
→ 総額主義で正確な税額を明示しましょう。 -
法人税計算で源泉税を控除し忘れる
→ 源泉所得税は「前払税金」扱いで控除可能です。
🔹 まとめ|受取利息は「営業外収益」、源泉徴収も忘れず処理!
受取利息は、会社や個人事業主にとって重要な金融収益のひとつです。
預金や貸付金の利息を受け取った際には、源泉徴収額を考慮した総額主義の仕訳を行うのが基本です。
源泉徴収の税率(個人:20.315%、法人:15.315%)を理解していれば、帳簿処理もスムーズに進みます。
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