企業が商品を仕入れて販売する際、販売までの間に商品は一時的に社内に滞留します。この状態を「在庫」と呼び、在庫状況を管理するための帳簿が商品有高帳です。
この記事では、商品有高帳の基本から、計算方法（先入先出法・移動平均法）、記入例、簿記3級向けの練習問題までわかりやすく解説します。
商品有高帳とは？
商品有高帳は、社内にある在庫を商品ごとに記録する帳簿です。
記入内容には以下の項目があります。
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入出庫の日付
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入庫数量・単価・金額
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出庫数量・単価・金額
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商品ごとの有高（残高）
これにより、商品ごとの数量や原価をリアルタイムで把握できます。
商品有高帳を作る目的
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在庫管理の効率化
商品ごとの在庫状況を確認でき、欠品や過剰在庫を防ぐことができます。 -
正確な損益計算
会社全体の在庫有高を把握することで、売上原価の計算が正確になり、利益の把握に役立ちます。 -
実地棚卸との照合
商品有高帳の残高は、実際の在庫（実地棚卸高）との差異を確認する根拠資料となります。
商品有高の計算方法
商品有高は以下の式で求められます。
ポイントは「単価」です。仕入時期によって単価が異なる場合、どの単価を使うかによって計算方法が変わります。代表的な方法は以下の2つです。
1. 先入先出法（FIFO）
先に入庫した商品から順に出庫するルールです。
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出庫単価は、最も古い入庫単価から順に計算
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残高は単価ごとに区分して記入
例
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前月繰越：500個 × 200円
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4月2日仕入：100個 × 180円
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4月3日販売：400個
出庫単価は200円から順に使用し、残高は200円と180円の2単価で記録します。
2. 移動平均法
仕入れるたびに平均単価を計算して出庫単価とします。
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出庫単価は、平均単価
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残高は単価ごとに分けず、平均単価で計算
例
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前月繰越：500個 × 200円
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4月2日仕入：100個 × 260円
平均単価 = （500 × 200 + 100 × 260） ÷ 600 = 210円
出庫単価は210円で計算し、残高も210円で管理します。
商品有高帳の記入方法
商品有高帳に記入する際は、以下の5項目を基本とします。
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日付：入出庫の発生日
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摘要：仕入先や販売先を記入
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受入（入庫）：数量・単価・金額
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払出（出庫）：数量・単価・金額
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残高：在庫数量・単価・金額
注意点
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仕入返品・売上返品が発生した場合も、商品有高帳に反映
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先入先出法では、返品時の単価は「返品直前の単価」
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移動平均法では、返品時の単価は「返品直前の平均単価」
簿記3級向け練習問題
問題例（先入先出法）
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前月繰越：500個 × 200円
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4月2日：100個 × 180円仕入
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4月3日：400個販売（売価500円）
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4月4日：160個販売（売価600円）
計算結果
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売上高：296,000円
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売上原価：110,800円
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売上総利益：185,200円
問題例（移動平均法）
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前月繰越：500個 × 200円
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4月2日：100個 × 260円仕入
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平均単価：210円
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4月3日：400個販売（売価500円）
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4月4日：100個販売（売価600円）
計算結果
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売上高：260,000円
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売上原価：105,000円
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売上総利益：155,000円
まとめ
商品有高帳は、在庫管理や正確な損益計算に欠かせない帳簿です。
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先入先出法：古い商品から出庫、単価ごとに残高管理
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移動平均法：平均単価で出庫、残高も平均単価
簿記3級の学習だけでなく、実務における在庫管理や売上原価計算でも非常に重要です。正確な商品有高帳を作成することで、利益の把握や経営判断にも役立ちます。
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