固定長期適合率は、企業の財務の安定性を測るうえで重要な指標のひとつです。
固定資産が、自己資本と固定負債という「長期的に安定した資金」でどれだけ賄われているかを示します。
この記事では、固定長期適合率の意味・計算式・目安・改善方法までを、初心者にもわかりやすく解説します。
固定長期適合率とは
固定長期適合率とは、自己資本と固定負債の合計額に対して、固定資産がどの程度の割合を占めているか を示す財務指標です。
企業の固定資産(建物・機械設備など)が、長期的な資金で安定的に賄われているかを把握できます。
固定長期適合率が低いほど、安定した財務構造を持つとされます。
一方で、数値が高い場合には、固定資産が長期資金でまかないきれていないことを意味し、経営の見直しが必要です。
固定比率との違い
よく似た指標に「固定比率」があります。
固定比率は、固定資産 ÷ 自己資本 × 100 で求めるのに対し、固定長期適合率では分母に「固定負債」も含めます。
つまり、固定長期適合率のほうがより広い観点で企業の安定性を測る指標です。
一般的に、固定長期適合率の数値は固定比率よりも低くなります。
固定長期適合率の計算方法
計算式は次のとおりです。
固定長期適合率 = 固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債)× 100
具体例で確認してみましょう。
| 固定資産 | 自己資本 | 固定負債 | 固定長期適合率 |
|---|---|---|---|
| 800万円 | 500万円 | 300万円 | 100% |
| 800万円 | 440万円 | 200万円 | 125% |
| 800万円 | 600万円 | 400万円 | 80% |
このように、固定資産の金額に対して、どの程度長期的な資金で賄えているかを数値で確認できます。
固定長期適合率の目安
固定長期適合率の一般的な目安は以下の通りです。
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100%未満:健全な状態
固定資産が自己資本と固定負債の範囲内でまかなわれており、財務の安定性が高い。 -
100%〜120%:注意が必要
固定資産が長期資金を上回りつつあり、資本構成の見直しが求められる。 -
120%〜150%以上:危険水準
短期資金に依存して固定資産を保有している可能性が高く、資金繰りに問題が生じるリスクがある。
固定長期適合率が高い場合の改善方法
固定長期適合率を改善するには、「固定資産の減少」と「自己資本の増加」を意識することがポイントです。
以下のような方法で改善が図れます。
1. 遊休資産の売却
使用していない設備や土地などを売却することで、固定資産を減らし、資金効率を高めます。
管理コストや固定資産税の負担も軽減できるため、財務の健全化につながります。
2. 設備投資の見直し
過剰な設備投資は、固定資産の増加を招き、固定長期適合率を悪化させます。
投資の必要性や回収見込みを再評価し、資金バランスを保ちましょう。
3. 設備投資の効率的な回収
既存設備の稼働率を高め、収益力を向上させることで自己資本を増やすことができます。
利益を積み重ねて内部留保を増加させることが、長期的な改善につながります。
固定長期適合率を活用した経営判断
固定長期適合率は、企業の長期的な資金運用の安定性を示す重要な指標 です。
同業他社や業種平均と比較することで、自社の財務体質を客観的に把握できます。
特に製造業や設備投資の多い業種では、固定長期適合率が高くなる傾向があります。
100%を一つの基準とし、超えている場合は資本構成や投資方針の見直しを行いましょう。
まとめ
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固定長期適合率は「固定資産 ÷(自己資本+固定負債)×100」で求める
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100%未満が理想、100%を超えると注意が必要
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改善には「遊休資産の売却」「設備投資の見直し」「自己資本の強化」が有効
企業の安定経営を維持するために、固定長期適合率を定期的に確認し、健全な財務体質を保つことが大切です。
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