売却時価とは

売却時価とは?清算時に使われる資産評価の基本をわかりやすく解説

企業の会計や財務報告を学んでいると、「売却時価」という言葉を目にすることがあります。特に、会社が解散したり事業を清算する場合に重要になる会計用語です。この記事では、売却時価の意味や計算方法、取得原価主義との違いなどを初心者にもわかりやすく解説します。

売却時価とは何か?

売却時価とは、簡単に言うと資産を売却した場合に得られる金額から、売却にかかる経費を差し引いた金額のことです。企業が清算する際には、将来の収益ではなく、現時点での資産の価値をもとに評価されます。

ポイントを整理すると以下の通りです:

  • 現時点での価値を重視する

  • 事業を継続する場合の将来収益は考慮しない

  • 資産を売却して得られる金額から必要経費を差し引いたもの

つまり、売却時価は「会社を解散して資産をすべて売ったあと、実際に残るお金」と考えるとイメージしやすいでしょう。

売却時価と取得原価主義の違い

日本の会計では、原則として取得原価主義が用いられます。取得原価主義とは、資産を購入したときの取得価格を基準に評価する方法です。

比較項目 取得原価主義 売却時価
評価基準 購入時の価格 売却時の市場価格
用途 継続企業の財務報告 事業清算・解散時
将来収益 重要 考慮しない
客観性 高い 市場価格変動に左右される

取得原価主義は、事業を継続する企業の会計において信頼性が高く、安定した評価方法です。しかし、企業が解散する場合やインフレーションなどで貨幣価値が変動している場合には、現時点の資産価値を反映する売却時価を使うことが合理的です。

売却時価の計算方法

売却時価を算出する手順はシンプルです。

  1. すべての資産を売却した場合の見積もり金額を算出する

  2. 売却に必要な経費(仲介手数料や税金、清算費用など)を差し引く

  3. 残った金額が、企業の清算価値=売却時価

例:

  • 資産総額:5,000万円

  • 売却経費:500万円

  • 売却時価:5,000万円 − 500万円 = 4,500万円

 

売却時価が使われる場面

売却時価は主に以下のようなシーンで重要になります:

  • 会社の解散や清算時の財務評価

  • 資産の再評価(インフレや市場価格変動時)

  • 事業譲渡やM&Aの交渉での資産価値算定

特に、清算時には将来の収益は関係なく、今の価値を正確に把握することが重要です。

まとめ

  • 売却時価は、企業が清算する際に資産を売却して得られる金額から経費を差し引いたもの

  • 取得原価主義とは異なり、現時点での資産価値を重視する評価方法

  • 清算・解散・資産再評価の際に活用される

売却時価を理解することで、会社の財務状況をより正確に把握でき、会計・税務上の判断も適切に行いやすくなります。

さらに参照してください:

発生主義とは?メリット・デメリットと現金主義・実現主義との違いをわかりやすく解説

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