「変動比率って何?」「どうやって使うの?」
管理会計を勉強し始めると必ずぶつかるポイントですよね。
変動比率は、企業の利益構造を理解するうえでとても重要な指標です。とくに損益分岐点分析や原価管理では欠かせない存在で、経営判断のスピードを上げるためにも知っておきたい基本です。
この記事では、変動比率の意味、固定比率との違い、会計でどう使うのかまでを初心者向けに丁寧に解説します。
変動比率とは?まずは基本の意味を押さえよう
変動比率とは、変動費を売上高で割った比率のことです。
変動費とは、生産量や販売量に応じて増減する費用のこと。
代表例として次のようなものがあります。
・材料費
・販売手数料
・商品の運送費
売上が増えれば変動費も増える、という関係ですね。
変動比率の公式
変動比率 = 変動費 ÷ 売上高
たとえば、売上100万円、変動費40万円なら変動比率は40%です。
固定比率との違いをわかりやすく説明
変動比率とセットで語られることが多いのが「固定比率」です。ただし用途も意味もまったく異なるので注意。
固定比率とは?
固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本
(安全性分析で使われる財務指標)
固定費とは違う概念なので混同しやすいポイントです。
一方、固定費とは“売上の増減に関わらず発生する費用”のこと。
代表例は次のとおりです。
・従業員の給料
・家賃
・減価償却費
つまり、
・変動比率:利益構造(管理会計)で使う
・固定比率:安全性分析(財務会計)で使う
この違いを理解しておくと迷いません。
変動比率が高いとどうなる?
変動比率が高いほど、売上の増減に連動して利益も大きく動きます。
つまり、利益が安定しにくいビジネス構造になります。
逆に、固定費が多く変動比率が低い場合は、
・損益分岐点までは利益が出にくい
・分岐点を超えると大きく利益が伸びる
という特徴があります。
たとえば製造業やサブスク型サービスは「固定費が重いが、一定水準を超えると一気に利益が増える」タイプです。
会計上、変動比率はどこで使うの?
財務会計では変動費と固定費を分ける必要はありません。
ただし、管理会計で損益分岐点を計算する際には必須の指標になります。
損益分岐点とは、企業の利益がちょうどゼロになる売上高のこと。
これを知ることで、次のような判断ができます。
・「最低どれくらい売れば赤字を避けられるか?」
・「値上げする場合、利益構造はどう変わるか?」
・「コスト削減はどこに手をつけるべきか?」
特に中小企業の社長や管理者が意思決定する時に非常に役立つ数字です。
損益分岐点の計算式も整理しておこう
損益分岐点は次の公式で求められます。
損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動比率)
この「1 − 変動比率」を**限界利益率(貢献利益率)**といいます。
売上が1円増えた時にどれだけ利益が増えるかを示す数値です。
限界利益率が高いほど利益が伸びやすい構造と言えます。
まとめ|変動比率は利益構造を理解するための基本指標
変動比率は、企業の利益構造を理解するうえで重要な数字です。
損益分岐点分析や経営判断に活用できるため、管理会計の基礎として必ず押さえておきたいポイントです。
・変動比率 = 変動費 ÷ 売上高
・変動比率が高いと利益が変動しやすい
・固定比率とは使う目的がまったく違う
・損益分岐点の計算に欠かせない指標
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