製造業や建設業などでよく登場する勘定科目「外注加工費(がいちゅうかこうひ)」。
似た言葉に「外注費」もありますが、実は使い分けを誤ると会計処理の整合性が崩れてしまうこともあります。
この記事では、外注加工費の意味・仕訳例・外注費との違いを、会計の専門家が初心者にもわかりやすく解説します。
✅ 外注加工費とは?
外注加工費とは、製造や工事などの一部を外部業者に委託した際に発生する費用のことを指します。
たとえば、自社で製造している製品の一部加工を他社に依頼した場合、その委託料が「外注加工費」となります。
💡簡単に言うと、「自社の製品や工事の一部を、外部に頼んだときの費用」が外注加工費です。
主に以下のような業種で使われます:
- 
製造業(部品加工・組立など)
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建設業(工事の一部委託など)
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印刷業(製本や仕上げ工程の委託など)
 
💡 外注加工費に該当する経費の具体例
外注加工費として計上できる経費には、以下のようなものがあります。
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 製品加工の委託費 | 部品や原材料の一部加工を外部に依頼 | 
| 工事の委託費 | 建設現場で専門業者へ部分工事を委託 | 
| 組立・包装の委託費 | 製造の最終工程などを外部に発注 | 
| デザイン・撮影費 | 製品パンフレットや広告素材の作成依頼 | 
これらは、自社の製造・サービス提供に直接関係する外部委託費用であるため、「外注加工費」として処理します。
🧾 外注加工費の仕訳例(会計処理)
外注加工費は、実際に支払いが発生した時点で仕訳します。
ここでは3つの代表的なケースを紹介します。
① 製造工程の委託
製品加工の一部をA社に委託し、100万円を普通預金で支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 
|---|---|---|---|
| 外注加工費 | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 | 
② 建設工事の委託
建設工事の一部を専門業者に外注し、50万円を支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 
|---|---|---|---|
| 外注加工費 | 500,000円 | 普通預金 | 500,000円 | 
③ 製造原価への振替
外注加工費100万円を製造原価に振り替えた。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 
|---|---|---|---|
| 製造原価 | 1,000,000円 | 外注加工費 | 1,000,000円 | 
⚖️ 外注加工費と外注費の違いとは?
| 比較項目 | 外注加工費 | 外注費 | 
|---|---|---|
| 主な使用業種 | 製造業・建設業 | サービス業・IT業など | 
| 委託内容 | 加工・工事など「製造や生産」に関する業務 | デザイン・翻訳・システム開発など「業務全般」 | 
| 会計上の扱い | 原価(製造原価)として計上することが多い | 販売費・一般管理費に計上するケースが多い | 
つまり、「製造過程に関する委託」なら外注加工費、その他業務委託なら外注費と区分するのが基本です。
⚠️ ただし、どちらの勘定科目を使っても大きな誤りではありません。
重要なのは「同じ内容の取引で勘定科目を統一すること」です。
🏭 外注加工費は「原価」に含まれる?
はい、基本的に製造過程で発生する外注加工費は「製造原価」に含めるのが正しい処理です。
たとえば、自社製品の部品を外部に加工依頼した場合、その費用は販売費ではなく原価に加算されます。
一方、完成品の修理やメンテナンスなど、販売後に発生する外注は「販売費・一般管理費」に含まれることもあります。
💬 実務担当者が注意すべきポイント
- 
勘定科目を「外注加工費」と「外注費」で混同しない
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同じ取引内容では勘定科目を統一する
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製造原価報告書や損益計算書の整合性を意識する
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消費税区分(課税・非課税)も要確認
 
経理初心者の方は、取引内容を具体的に把握し、どの費用に該当するかをまず整理するのがコツです。
🧩 まとめ:外注加工費は「製造・工事の外部委託費用」
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外注加工費とは、製造や工事の一部を外部に依頼した費用
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製造業・建設業でよく使われ、製造原価に含まれることが多い
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外注費との違いは「加工(生産)」に関する委託かどうか
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どちらを使っても問題ないが、勘定科目の統一が重要
 
さらに参照してください:
				
 