外貨貯金や海外資産を持っていると、為替レートの変動によって利益が出ることがあります。
これを「為替差益」と呼び、場合によっては確定申告が必要になることがあります。
ただし、すべての為替差益が申告対象になるわけではありません。
この記事では、為替差益の仕組みから、申告が必要なタイミング、所得区分、必要書類までを初心者向けに解説します。
為替差益とは
為替差益は、外貨の購入時と日本円に換算したときのレートの差で得られる利益です。逆に、損失が出た場合は「為替差損」と呼びます。
例えば、1万ドルを1ドル100円で購入し、後に1ドル105円で日本円に換えると、5万円の為替差益が発生します。
確定申告の対象になる為替差益
為替差益が確定申告の対象になるのは、日本円で利益が確定した場合です。
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外貨を受け取ってすぐに日本円に換えた場合 → 申告不要
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外貨預金の運用中の含み益(未実現益) → 申告不要
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外貨預金を解約して日本円で利益が確定した場合 → 申告必要
事業所得として帳簿をつけている場合は、未実現の為替差益も所得計算に含まれることがあります。
為替差益を計上するタイミング
為替差益は、日本円に換算した時点で計上します。
計算方法は「購入時のレート」と「決済時のレート」の差額です。
例:外貨預金の為替差益計算
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購入時:1万ドル × 100円 = 100万円
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解約時:1万ドル × 105円 = 105万円
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為替差益:105万円 − 100万円 = 5万円
この5万円は、日本円に換算した年度の所得として申告対象になります。
為替差益の所得区分
為替差益は、所得の種類によって計上方法が異なります。
| 所得区分 | 内容 |
|---|---|
| 事業所得 | 商品販売やサービス提供に関連する利益。帳簿によっては未実現益も含む |
| 雑所得 | 事業に関係しない外貨預金や小規模な副業での利益。日本円で確定した額が対象 |
※外貨積立保険や外国株式の売却益などは、発生原因に応じて一時所得などの別の所得区分になる場合があります。
確定申告が必要なケース
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事業に関連する為替差益がある場合
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日本円で確定した雑所得の為替差益が年間20万円を超える場合
これらに該当すると、確定申告が必要です。
確定申告が不要なケース
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確定した為替差益が年間20万円以下の場合
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すでに源泉徴収や年末調整で所得税が完結しており、追加で納税が不要な場合
この場合は、申告を省略しても問題ありません。
為替差益の確定申告に必要な書類
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事業所得の場合:帳簿上で管理すればOK(入出金明細、請求書、決済レポートなどを保管)
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雑所得の場合:年間取引報告書、銀行や証券会社のレポート、その他為替差益を証明する書類
e-Taxでの提出では必須ではありませんが、念のため保管しておきましょう。
まとめ
外貨貯金で利益が出た場合でも、日本円に換算して確定した利益だけが確定申告の対象です。事業所得か雑所得かによって申告方法が異なるため、自分のケースを正しく判断することが重要です。未実現の含み益は申告不要ですが、運用終了時の利益は忘れず申告しましょう。
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