不動産賃貸契約や建物建設の際に耳にすることがある「建設協力金」。
一見すると保証金と似ていますが、実は独自の仕組みや会計上の扱いがあります。
本記事では、建設協力金の基本、メリット、会計上の注意点まで初心者でも理解できるように解説します。
1. 建設協力金とは?
建設協力金とは、建物を建てる際に賃貸人が建設資金として活用するため、賃借人から借りる金銭のことです。保証金と同じく、契約期間中に一定の条件で返還されることが前提ですが、以下の特徴があります。
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賃料と相殺して償却する「リースバック方式」が一般的
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場合によっては、10〜15年据え置き後に利息をつけて返済する方式もある
つまり、建設協力金は単なる前払い保証金ではなく、建物建設資金を賃借人が間接的にサポートする仕組みと言えます。
2. 建設協力金の仕組み(リースバック方式)
リースバック方式では、賃貸人が建物建設後にテナントを募集する手間を省くと同時に、賃借人の支払った建設協力金を月々の賃料と相殺して回収します。
具体例:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 建設協力金 | 120万円 |
| 月額賃料 | 10万円 |
| 償却期間 | 12か月 |
→ 毎月の賃料10万円のうち、建設協力金の償却分10万円を充当することで、1年後には全額償却完了。
この方式を採用すると、賃借人は追加の現金支出なしで協力金を負担し、賃貸人は建設費用を効率的に回収できます。
3. 建設協力金のメリット
建設協力金を活用する賃貸人側のメリットは多岐にわたります。
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建築後のテナント募集が不要
→ 建設資金を事前に回収できるため、空室リスクを低減できます。 -
保証金に対する利息が不要
→ 通常の保証金では利息が発生する場合がありますが、建設協力金は賃借人負担であり、金利の支払い義務はありません。 -
中途解約時の返済義務が不要
→ 賃借人が契約途中で退去した場合でも、建設協力金は賃貸人の負担にならないケースが一般的です。 -
相続税の節税対策に活用可能
→ 建設協力金は差入保証金の一種として扱われますが、返済義務や利息負担がないため、相続税評価額を抑える効果が期待できます。
4. 会計上の扱い
建設協力金は差入保証金に似ていますが、賃借人にとっては契約条件の一部としての貸付金となるため、会計上は原則貸付金として計上します。
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貸方:現金(建設協力金受領時)
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借方:貸付金(資産計上)
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償却時:賃料と相殺して回収
注意点として、建設協力金の扱いは契約内容や償却方法によって異なるため、契約書の確認や会計士への相談が推奨されます。
5. まとめ
建設協力金は、賃貸人が建物建設費を賃借人の協力で効率的に回収できる仕組みであり、空室リスク低減や利息負担なし、中途解約リスクの軽減などのメリットがあります。
ただし、会計上は貸付金として扱われるため、適切な処理が必要です。契約方式や償却方法によって仕訳や税務上の扱いが異なる場合もあるため、専門家への相談をおすすめします。
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