所得金額調整控除は、給与所得や年金所得のある人、そして子どもや特別障害者がいる世帯などを対象に、税負担を軽減するために設けられた控除制度です。2020年から導入され、給与所得控除や公的年金控除の改正に伴う実質増税を調整する目的があります。
この記事では、所得金額調整控除の対象者や計算方法、申告の手順、注意点までを初心者にもわかりやすく解説します。
所得金額調整控除とは?
所得金額調整控除とは、給与所得や年金所得の一部を控除することで所得税の負担を軽減できる制度です。
制度の導入背景
2020年の税制改正により、給与所得控除や公的年金控除の上限が引き下げられ、実質的に増税となるケースが発生しました。この増税を調整するため、一定条件を満たす人を対象に、所得金額調整控除が創設されました。
所得金額調整控除の対象者
所得金額調整控除は、次のいずれかに該当する人が対象です。
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子どもや特別障害者等がいる人
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自身が特別障害者に該当する
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23歳未満の扶養親族がいる
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同一生計配偶者または扶養親族のいずれかが特別障害者である
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給与所得と年金所得の両方がある人
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会社からの給与所得と、公的年金などの雑所得の合計が10万円を超える場合
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高齢化社会では、年金を受け取りながら働く人も多いため、この条件に該当するケースが増えています。
所得金額調整控除の計算方法
控除額は、条件によって計算方法が異なります。
1. 年収850万円超の給与所得者の場合
給与所得が850万円を超える場合、控除額は次の式で計算します。
例:
給与収入が950万円の場合
(950万円-850万円)×10%=10万円の控除
控除額の上限は15万円です。
2. 給与所得と年金所得の両方がある場合
給与所得控除後の金額と公的年金の雑所得の合計から10万円を引いた額が控除額です。
それぞれの上限は10万円です。
例:
給与所得控除後:202万円
公的年金雑所得:40万円
控除額 = 10万円+10万円-10万円 = 10万円
所得金額調整控除の申告方法
年末調整で申告する場合
子どもや特別障害者がいる場合は、勤務先に提出する「給与所得者の基礎控除申告書兼所得金額調整控除申告書」に必要事項を記入します。
確定申告で申告する場合
給与所得と年金所得が両方ある場合や、年収2,000万円を超える場合は年末調整では申告できず、確定申告が必要です。
国税庁の「公的年金等の雑所得がある方の記載例」を参考に記入するとスムーズです。
注意点・申告のポイント
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年収850万円を超えるか不明な場合でも、申告書は提出しておく
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共働きで夫婦ともに対象の場合、双方で控除が可能
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複数会社から給与をもらう場合、年末調整では申告不可のため確定申告で対応
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計算で1円未満は切り上げ
所得金額調整控除は比較的新しい制度です。対象者は忘れずに申告することで、税負担を軽減できます。
まとめ
所得金額調整控除は、給与所得や年金所得のある人、子どもや特別障害者がいる世帯を対象に税負担を軽減できる便利な制度です。
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2020年から導入された新しい控除
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年収850万円超の給与所得者や給与+年金所得者が対象
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年末調整や確定申告で申告が必要
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共働きや複数給与所得も考慮し、忘れず申告する
正しく申告すれば、最大15万円の控除で税負担を軽くできるので、条件に該当する方は必ず確認しましょう。
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