株式投資や企業分析を行う上で「有価証券報告書」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
有価証券報告書は、企業の財務状況や経営情報を投資家や市場に正確に伝えるための重要な書類です。
この記事では、有価証券報告書の意味や記載内容、提出義務、閲覧方法までを初心者にもわかりやすく解説します。
有価証券報告書とは?
有価証券報告書とは、金融商品取引法第24条に基づき、毎事業年度終了後3ヶ月以内に内閣総理大臣に提出が義務付けられている報告書です。
主に、企業の概況・事業内容・設備状況・営業状況・財務諸表などが記載されており、提出後は財務局の審査を受けることになります。
かつては証券取引法で規定されていましたが、2007年9月の金融商品取引法施行により、規定が引き継がれています。
有価証券報告書の意義
有価証券報告書は、企業が自社の経営状況を外部に開示するための重要な書類です。
その目的は主に以下の3つです:
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市場の公正化
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投資家保護
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不正取引や投資勧誘の規制
つまり、投資家が安心して投資判断を行えるよう、企業の経営情報を透明化する役割があります。
提出義務のある企業
有価証券報告書の提出義務があるのは、以下の企業です:
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一部・二部上場会社
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店頭登録会社
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上場外国会社
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有価証券所有者が1,000人以上の会社
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有価証券の募集や売り出しに際し届出書または発行登録追補書類を提出した会社
これにより、大多数の上場企業や一定規模の企業は、必ず提出が求められます。
有価証券報告書の主な記載内容
有価証券報告書には、大きく分けて次の内容が記載されています:
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企業情報
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企業の概況
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設備の状況
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経理状況
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株式事務の概要
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提出会社の保証会社等の情報
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保証会社情報
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保証会社以外の会社の情報
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指数などの情報
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監査報告書
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公認会計士や監査法人による財務内容の監査報告
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さらに、上場企業は四半期ごとの四半期報告書の提出も義務付けられています。
有価証券報告書の閲覧・提出方法
過去5年以内に提出された有価証券報告書は、金融庁の電子開示システム「EDINET(Electronic Disclosure for Investors’ NETwork)」で閲覧可能です。
また、有価証券報告書は電子提出が義務付けられており、紙での提出はできません。
EDINETを利用することで、投資家やアナリストは企業の財務状況や経営戦略を効率的に確認できます。
まとめ
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有価証券報告書とは、企業が財務情報や経営情報を外部に開示するための報告書です。
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提出義務のある企業は、上場会社や一定規模以上の企業です。
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記載内容には、企業情報、保証会社情報、監査報告書などが含まれます。
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過去の報告書はEDINETで閲覧可能で、提出も電子化されています。
投資家保護や市場の透明性の観点から、有価証券報告書は非常に重要な書類です。企業分析や投資判断を行う際には、ぜひ内容を確認するようにしましょう。
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