企業の経理や財務管理で必ず関わる「期末商品棚卸高(きまつしょうひんたなおろしだか)」。
これは、決算書を作成する際に欠かせない重要な項目です。
本記事では、期末商品棚卸高の意味や計算方法、仕訳例、決算書での役割まで、初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
1. 期末商品棚卸高とは?
期末商品棚卸高とは、会計年度末時点での商品の在庫額を指します。棚卸資産として貸借対照表や損益計算書に反映され、企業の財務状況や売上原価の計算に大きく関わる項目です。
商品の流れと期末棚卸高
-
期首商品棚卸高(前期から繰り越された在庫)
-
当期の商品仕入高(会計期間中の仕入額)
-
当期の売上に対応する商品(売上原価)
期末商品棚卸高は、期首商品棚卸高 + 当期仕入高 − 売上原価で算出されます。
2. 期末商品棚卸高と決算書の関係
貸借対照表(B/S)との関係
貸借対照表では、期末商品棚卸高は「資産の部」の「商品」に計上されます。ただし、帳簿上の期末商品棚卸高と実地棚卸で確認された在庫額は一致しない場合があります。差異は棚卸減耗損や商品評価損として調整されます。
損益計算書(P/L)との関係
損益計算書では、売上原価の計算に期末商品棚卸高が関わります。棚卸減耗損や商品評価損がある場合は、売上原価や販売費及び一般管理費に含めて計上されます。
3. 期末商品棚卸高の計算方法
商品の単価は会計期間中に変動することがあるため、評価方法を選択して計算します。代表的な方法は以下の通りです。
先入先出法(FIFO)
-
方法:先に仕入れた商品から売上に対応させ、期末残高は後から仕入れた商品の単価で評価
-
例:
-
期末在庫:500個
-
最後の仕入単価:300円
-
期末商品棚卸高 = 500 × 300円 = 15万円
-
総平均法
-
方法:期首在庫と当期仕入高の合計額を総数量で割り、平均単価で評価
-
例:
-
期首在庫:100個、10万円
-
当期仕入:5,500個、500万円
-
平均単価 = (10万円 + 500万円) ÷ (100 + 5,500) ≒ 910円
-
期末在庫:120個
-
期末商品棚卸高 = 120 × 910円 = 10万9,200円
-
4. 期末商品棚卸高の仕訳例
三分法での決算整理仕訳
-
期首商品棚卸高:20万円
-
当期仕入高:800万円
-
期末商品棚卸高:30万円
仕訳
繰越商品 300,000円
仕入 300,000円
三分法では、期首商品棚卸高を仕入高に算入し、期末商品棚卸高を商品勘定に反映させることで、売上原価が正しく計算されます。
5. 期末商品の在庫確認方法
帳簿棚卸
-
会計システム上の在庫と実際の在庫が一致しているか確認する手続き。差異があれば調整。
実地棚卸
-
店舗や倉庫で実際の商品を数え上げ、帳簿と照合する方法。年1回や四半期ごとに実施されることが多い。
6. 期首商品棚卸高との関係
-
期首商品棚卸高 = 前期末商品棚卸高
-
当期の期末商品棚卸高は、翌期の期首商品棚卸高として繰り越されます
まとめ
期末商品棚卸高は、貸借対照表や損益計算書に直結する重要な項目であり、売上原価や企業の資産管理に欠かせません。先入先出法や総平均法などの評価方法を理解し、正確に計算・仕訳することが、正しい決算書作成の第一歩です。
企業経理担当者は、帳簿棚卸と実地棚卸を組み合わせて在庫管理を行い、棚卸減耗損や商品評価損も適切に反映させましょう。
さらに参照してください:

