会計の基本的な概念の一つに「期間損益計算」があります。
企業の損益を適切に把握するために不可欠な手法であり、経理担当者だけでなく、経営者や個人事業主にとっても理解しておくべき内容です。本記事では、期間損益計算の概要や計算方法、費用収益対応の原則との関係まで、わかりやすく解説します。
1. 期間損益計算とは?
期間損益計算とは、企業が存続している期間を区切り、一定期間(会計期間)の損益を計算する方法です。
企業会計は企業の継続を前提としていますが、全期間を対象にすると損益の開示や税金の計算が適切に行えません。そこで、会計期間を区切って損益を計算することで、利益の状況を時期ごとに把握することが可能になります。
2. 期間損益の計算方法
期間損益計算には主に 財産法 と 損益法 の2つの方法があります。
2-1. 財産法(資産負債アプローチ)
財産法は、貸借対照表の純資産の増減に着目して損益を計算します。
計算例:
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期首純資産:100万円
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期末純資産:120万円
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期間損益:120万円 − 100万円 = 20万円(黒字)
注意点:株主からの出資や配当なども純資産に含まれるため、損益の正確な把握には工夫が必要です。
2-2. 損益法(収益費用アプローチ)
損益法は、収益と費用の総額を比較して期間損益を計算します。
計算例:
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収益総額:500万円
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費用総額:450万円
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期間損益:500万円 − 450万円 = 50万円(黒字)
損益法は、現代の会計で一般的に使われる方法です。費用収益対応の原則に従い、収益と期間費用を対応させて損益を算出します。
3. 費用収益対応の原則とは?
費用収益対応の原則とは、収益が発生した期間に対応する費用を正しく計上することを指します。
具体的には、以下の「経過勘定」を利用して、費用や収益を正しい期間に振り分けます。
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未収収益
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前払収益
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未払費用
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前払費用
例: 来期に使用する備品代を前払費用として計上し、使用期間に応じて費用に振り替える。
4. 期間損益計算の重要性
期間損益計算は、企業会計の基礎的な考え方であり、次のメリットがあります。
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会計期間ごとの経営成績を把握できる
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決算・税務申告を正確に行える
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経営判断や予算策定の参考になる
現代の会計では、損益法による計算が主流ですが、財産法も補完的に活用されることがあります。
まとめ
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期間損益計算は、会計期間ごとの損益を把握する手法
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財産法は貸借対照表の純資産を基に計算
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損益法は収益と費用を比較して計算(現代の主流)
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費用収益対応の原則に従うことで、損益を正確に認識
企業会計や経理の理解を深めるためには、期間損益計算の仕組みと計算方法を押さえておくことが重要です。
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