企業が事業拡大や新規プロジェクトのために資金を調達する方法はいくつかありますが、その中でも「株主割当増資(かぶぬしわりあてぞうし)」は、既存の株主にとって特に重要な仕組みです。
この記事では、株主割当増資の基本から、ライツイシュー(新株予約権無償割当)の種類まで、初心者にもわかりやすく解説します。
💡株主割当増資とは?
株主割当増資とは、既存の株主に対して新株を優先的に購入する権利(新株予約権)を与えることで行う増資方法です。
株主は自分が保有する株式数に応じて資金を出し、その対価として新たに発行される株式(新株)を取得します。
つまり、会社は「株主から資金を集める」形で増資を行い、株主は「持株比率を維持しながら出資する」ことができる仕組みです。
🧩株主割当増資の仕組み
株主割当増資では、会社が「新株予約権」を既存株主に配布します。
株主はこの権利を使って、新株をあらかじめ決められた価格で購入します。
このとき、新株発行価格は市場価格とは関係なく会社が設定できます。
たとえば、市場価格が1株1,000円でも、株主割当増資では800円など、時価よりも低い価格で購入できるケースもあります。
これにより株主はお得に株式を取得でき、会社は資金を効率的に集められるという「双方にメリットのある資金調達」が可能になります。
💬株主割当増資とライツイシューの関係
株主割当増資の代表的な形態が「ライツイシュー(Rights Issue)」です。
ライツイシューとは、既存の株主に対して、新株を時価よりも低い価格で購入できる権利を無償で与える仕組みを指します。
たとえば、A社の株を100株持っている株主がいた場合、会社は「新たに10株分を800円で購入できる権利」を与える、というような形です。
⚖️ライツイシューの2つの種類
ライツイシューは、コミットメント型とノンコミットメント型の2種類に分けられます。
🔹コミットメント型ライツイシュー
証券会社などの引受先が「未行使分を必ず引き受ける」契約を結ぶ方式です。
もし株主が権利を使わなかった場合でも、証券会社が代わりに新株を購入するため、
会社は確実に資金を調達できるというメリットがあります。
✅ 安定した資金調達を確保したい企業に向いています。
🔸ノンコミットメント型ライツイシュー
一方でノンコミットメント型では、株主が権利を行使しなければその権利は消滅します。
証券会社などが代わりに引き受ける義務はなく、会社にとっては資金調達が不確実になりますが、
引受契約を結ぶコストや手間が不要という利点があります。
✅ コストを抑えたい、柔軟に資金調達したい企業に向いています。
📊株主割当増資のメリットと注意点
メリット
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既存株主が優先されるため、持株比率の希薄化を防げる
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資金調達の透明性が高く、既存投資家との信頼関係を維持できる
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市場価格よりも安く株を購入できる(株主側のメリット)
注意点
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株主が資金を用意できない場合、持株比率が下がるおそれがある
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株価下落を防ぐために、適切な価格設定やタイミングが重要
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公開会社の場合は、適正な情報開示や株主通知が義務付けられる
🏁まとめ:株主と企業の信頼関係を保つ増資方法
項目 | 内容 |
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増資方法 | 株主割当増資(既存株主に優先的に新株発行) |
代表的な手法 | ライツイシュー(コミットメント型/ノンコミットメント型) |
メリット | 株主の持株比率を維持、企業と株主の利益が一致 |
注意点 | 権利行使率や株価動向に注意 |
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