株式投資の世界で最もよく使われる指標のひとつが、**株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)**です。
PERは、株価が企業の利益に対して割高か割安かを判断するための基本的な指標であり、初心者から上級者まで幅広く活用されています。
この記事では、会計と投資の両面から「PERとは何か」「計算方法」「見るべきポイント」「注意点」まで、やさしく解説します。
✅ 株価収益率(PER)とは?
株価収益率(PER)とは、企業の株価が1株あたり当期純利益の何倍まで買われているかを示す指標です。
簡単に言えば、「今の株価がその会社の利益の何年分に相当するか」を表しています。
🔹 PERの計算式:
PER=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)PER = 株価 ÷ 1株当たり当期純利益(EPS)
たとえば、ある企業の株価が2,000円で、1株当たりの当期純利益(EPS)が200円の場合:
PER=2000÷200=10倍PER = 2000 ÷ 200 = 10倍
つまり、「その企業の利益の10年分の価値が株価に織り込まれている」という意味になります。
💡 PERで何がわかるのか?
PERを使うことで、株価が割高か割安かを判断できます。
一般的に、次のように評価されます。
| PERの値 | 評価の目安 | 状況のイメージ |
|---|---|---|
| 15倍以下 | 割安 | 利益に対して株価が低く、投資妙味あり |
| 15〜25倍 | 適正 | 業界平均並みの評価 |
| 25倍以上 | 割高 | 利益に比べて株価が高く、期待先行の可能性あり |
ただし、PERの「高い・低い」だけで良し悪しを判断するのは危険です。
成長性の高い企業や新興企業では、PERが高くても妥当とされることがあります。
🧾 PERの変動と注意点
PERは以下の2つの要因で変動します。
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株価の変動:株価が上がればPERも上昇、下がればPERも下落します。
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利益(EPS)の変動:企業の利益が増えるとPERは下がり、利益が減るとPERは上昇します。
つまり、株価が上がったのにPERが下がるケースもあります。
それは、株価以上に利益が大きく伸びている場合です。
逆に、株価が横ばいでもPERが上がる場合は、利益が減っている可能性があります。
このようにPERは、企業の成長性や収益力の変化を反映する重要な指標なのです。
🌍 日本株とアメリカ株のPER比較
投資家の間では、PERを使って日本株とアメリカ株の割安・割高比較を行うこともあります。
一般的に:
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日本株の平均PER:約13〜15倍
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アメリカ株(S&P500)の平均PER:約20〜25倍
この差から、表面的には「日本株は割安」と言われることがあります。
しかし、実際には成長率や金利水準、投資家の期待感などが異なるため、単純比較は禁物です。
⚠️ PERを使う際の注意点
PERは便利な指標ですが、以下のような弱点もあります。
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赤字企業には使えない(利益がマイナスのため計算不能)
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一時的な利益変動に影響を受けやすい
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業界によって「適正水準」が異なる
したがって、投資判断ではPERだけでなく、
PBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)などと組み合わせて分析することが重要です。
🧭 まとめ:PERは「企業の期待値」を測る物差し
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PER=株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
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株価の割安・割高を判断する基本的な指標
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業界や企業の成長性を踏まえて総合的に判断することが大切
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他の指標(PBR・ROEなど)と合わせて分析するのが効果的
さらに参照してください:

