企業が「株式上場(IPO)」を目指す際に欠かせないのが、株式公開支援(IPO支援)です。
しかし、「どんな支援を受けられるの?」「どんな準備が必要なの?」という疑問を持つ経営者や担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、会計の専門家が株式公開支援の内容や上場までの流れ、メリットと注意点をわかりやすく解説します。
IPOを検討している企業にとって、実務的なロードマップとなる内容です。
🔹 株式公開支援とは?
株式公開支援(かぶしきこうかんしえん)とは、未上場企業が証券取引所に株式を上場(IPO:Initial Public Offering)するために、
銀行・監査法人・公認会計士事務所・証券会社・IPOコンサルタントなどの専門家が行う支援・指導業務のことです。
上場とは、会社の株式を証券市場で自由に売買できるようにすること。
そのためには、東京証券取引所やジャスダックなどの定める上場基準を満たす必要があります。
さらに、上場には数年単位の準備期間が必要なため、専門家による継続的なサポートが欠かせません。
株式公開支援は、上場準備の初期段階から上場後の資金調達フェーズまで伴走支援するのが一般的です。
🔹 株式公開までの流れ(IPO準備スケジュール)
株式公開までには、一般的に約3年間の準備期間が必要です。
以下では、主なステップを時系列で紹介します。
🗓 公開の3年前までに行うこと
IPO準備の最初の段階では、まず支援チームを固めます。
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✅ 株式公開支援者(監査法人・コンサルなど)の決定
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✅ 公開予定時期の決定
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✅ 上場市場(プライム・スタンダード・グロースなど)の選定
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✅ 全体スケジュールの策定
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✅ 主幹事証券会社の選定
この段階で「どの市場に、いつ上場したいのか」という大まかな方針を固めます。
📊 直前々期(公開2年前)
この時期には、上場に必要な体制整備と監査対応が始まります。
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監査法人による法定監査の開始(株式公開には2期分の監査証明が必要)
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会計制度・社内管理制度など、上場審査に必要な項目の整備
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資本政策の立案(株主構成・持株比率・発行済株式数の最適化)
この時期の整備が不十分だと、後の審査で指摘を受ける可能性が高くなるため、最も重要な期間といえます。
🧾 直前期(公開1年前)
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内部管理体制や社内規程などの整備を完了
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監査証明の取得
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上場申請書類の作成開始
財務報告や内部統制が適正に運用されているか、実務面の最終確認を行います。
💼 申請期(公開当年)
上場を申請する年度(申請期)には、次のような流れで手続きが進みます。
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直前期の決算を終え、上場申請準備を開始
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主幹事証券会社による証券審査
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証券取引所による上場審査
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上場承認 → 株式公開(IPO)
これらの審査では、「企業のガバナンス」「財務の健全性」「事業の持続可能性」などが細かくチェックされます。
🔹 株式公開のメリットと注意点
✅ メリット
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市場からの資金調達が可能
→ 新株発行により、成長資金を効率的に確保できる。 -
知名度・信用力の向上
→ 上場企業として社会的信用が高まり、取引先や金融機関との関係も強化。 -
人材確保・社員のモチベーション向上
→ 上場企業で働く安心感や、ストックオプション制度による報酬アップが期待できる。
⚠️ 注意点・義務
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ディスクロージャー(情報開示)義務の拡大
→ 財務情報や経営方針などを定期的に公表する必要がある。 -
株主・投資家への説明責任
→ 経営判断に対する透明性と説明力が求められる。 -
内部統制の強化が必須
→ 不正防止・ガバナンス体制の構築が重要。
🔹 株式公開支援の第一歩は「目的の明確化」
株式公開支援を受ける前に、まず経営者が整理すべきなのは次の3つです。
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株式公開とは何かを理解する
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IPOのメリット・デメリットを正しく把握する
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自社がIPOで何を実現したいのかを明確にする
この“経営者の意思確認”が、IPOプロジェクト成功の出発点となります。
🔹 まとめ:株式公開支援は「経営の見える化」と「企業価値向上」のプロセス
株式公開支援は単なる「上場準備」ではなく、
経営の透明化・組織体制の整備・資本戦略の見直しを通じて、
企業の成長基盤を強化するプロセスでもあります。
IPOを目指すなら、早い段階で信頼できる専門家(監査法人・証券会社・会計士)と連携し、
中長期的な視点で計画を立てることが成功のカギとなります。
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