棚卸資産とは

棚卸資産とは?原価法・低価法の評価方法と実地棚卸のポイントをやさしく解説

棚卸資産は、企業の利益計算に大きく影響する重要な資産です。正しく理解しないまま管理すると、損益のズレや税額の誤りにつながることもあります。この記事では、棚卸資産の種類や評価方法、実地棚卸の重要性を初心者にもわかりやすく解説します。

棚卸資産とは

棚卸資産とは、販売目的または加工目的で保有している商品・材料・製品などを指します。損益計算上、仕入れた商品をそのまま費用にせず、売れるまで資産として計上する必要があります。

例:
仕入100,000円のうち50,000円分が期末に残っていた場合
仕入高100,000 / 現金100,000
棚卸資産50,000 / 仕入高50,000

棚卸資産は貸借対照表の「流動資産」に分類されます。

棚卸資産の分類

棚卸資産は以下のように分かれます。

  1. 商品:仕入れたまま未販売のもの

  2. 原材料:加工目的で仕入れた材料

  3. 仕掛品・半製品:加工途中のもの

  4. 製品・完成品:加工が完了したもの

  5. 消耗品等の未使用分(切手・コピー用紙・カレンダーなど)

 

実地棚卸の重要性

帳簿上で在庫を管理できたとしても、実務では誤記・記入漏れなどヒューマンエラーが発生しがちです。
そのため、決算時には必ず「実地棚卸」を行い、実際に在庫を数えて帳簿と一致させる必要があります。
棚卸の誤りは、利益と税額の誤りに直結するため、とても重要なプロセスです。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産は「原価法」と「低価法」のいずれかで評価します。

1. 原価法

取得原価を基準に評価する方法で、6つの種類があります。

個別法
実際の取得価格を個別に評価。宝石・不動産などに最適。

先入先出法
先に仕入れたものから順に販売される想定。物価変動の影響を受けやすい。

総平均法
期首在庫と当期仕入れを合算し平均単価を求める方法。

移動平均法
仕入れのたびに平均単価を更新。正確だが計算が複雑。

売価還元法
小売業向け。グループごとに原価率を使って評価する。

最終仕入原価法
期末に最も近い仕入価格を採用。選択しない場合のデフォルト。

2. 低価法

原価法で計算した金額と時価の低い方を採用する方法。
価値が下がった在庫を正しく反映できる点がメリットです。

評価方法の選択

棚卸資産の評価方法は、法人設立初年度の申告期限までに税務署へ届け出ます。
変更する際は、事業年度開始日の前日までに「変更承認申請書」が必要です。
選んだ方法は原則継続適用となるため、最初の選択が非常に重要です。

まとめ

棚卸資産は会社の利益を大きく左右するため、正確な管理と評価が欠かせません。適切な評価方法と実地棚卸を行えば、損益のズレや税務リスクを避けることができます。

さらに参照してください:

棚卸計算法とは?基礎からやり方・継続記録法との違いまでわかりやすく解説

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