業務委託費は、会社が業務を外部に委託した際に発生する費用を管理するための勘定科目です。
この記事では、業務委託費の範囲や仕訳の方法、消費税や源泉徴収の取扱い、そして外注費との違いまで、初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
1. 業務委託費とは?
業務委託費とは、企業が外部の個人事業主や法人に業務を委託した際に支払う報酬や費用のことを指します。主な契約形態は以下の3つです。
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請負契約:成果物の納品に対して報酬を支払う契約
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委任契約:法律行為の遂行を依頼する契約(例:代理人契約)
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準委任契約:事実行為の遂行を依頼する契約
業務委託は、社内業務の効率化や専門家による高品質な成果物の確保を目的として利用されます。
2. 業務委託費に該当する主な経費
業務委託費として計上できる主な費用は以下の通りです。
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外部講師への講演料
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雑誌やWebコラムの原稿料
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弁護士・司法書士・行政書士への報酬
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税理士や社会保険労務士の顧問料
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Webサイト制作費、ロゴ作成費、動画制作費、イラスト作成費
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コンサルタントへの報酬
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下請工賃、人材派遣料 など
※注意:社内従業員に支払う報酬は給与扱いとなり、業務委託費には含まれません。
3. 業務委託費の仕訳例
実際に業務委託費を支払った場合の仕訳例を見てみましょう。
例1:個人の税理士に顧問料を支払った場合
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 業務委託費 50,000円 | 普通預金 44,895円 |
| 預り金 5,105円 |
※税理士など特定資格を持つ個人への報酬は源泉徴収が必要です。
例2:法人のコンサルティング会社に報酬を支払った場合
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 業務委託費 1,000,000円 | 普通預金 1,000,000円 |
※法人への支払いは源泉徴収の必要はありません。
例3:オンラインアシスタントサービスの利用料を支払った場合
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 業務委託費 100,000円 | 未払金 100,000円 |
※法人サービスへの支払いのため源泉徴収は不要です。
4. 業務委託費は消費税の課税対象?
業務委託費は消費税の課税対象です。
業務委託費を支払う側は、報酬額に消費税を加えて支払います。
委託先がインボイス発行事業者であれば、インボイスの取得により仕入税額控除が可能です。
5. 個人に支払う場合の源泉徴収対応
個人に対する原稿料・講演料・弁護士報酬などは、支払時に所得税を源泉徴収する必要があります。
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源泉徴収額:報酬額×10.21%(100万円以下の場合)
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支払額:報酬額-源泉徴収額
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納付期限:原則として支払翌月10日まで
源泉徴収した金額は、税務署へ所得税徴収高計算書を提出して納付します。
6. 業務委託費と外注費の違い
業務委託費と外注費はどちらも外部業務への支払いを意味しますが、以下の点で異なります。
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業務委託費:契約に基づく請負・委任・準委任業務の支払い
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外注費:契約の有無に関わらず広く外部業務に対する費用
契約の有無や契約形態を確認して、適切に勘定科目を使い分けることが重要です。
7. まとめ:業務委託費の会計処理ポイント
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消費税課税対象である
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個人に支払う場合は源泉徴収が必要
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契約形態に応じて業務委託費と外注費を使い分ける
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仕訳時に源泉徴収額も考慮する
業務委託費は、契約形態・支払先・税務上の扱いを整理することで、正確な会計処理が可能になります。経理担当者は仕訳例を参考にしつつ、消費税・源泉徴収の処理を適切に行いましょう。
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