法人税は、株式会社や有限会社など法人が事業で得た利益に対して課される国税です。
法人税の基本を理解することで、適正な納税や節税対策が可能になります。
本記事では、法人税の概要、課税対象、計算方法、税率、申告・納付のポイント、節税方法までわかりやすく解説します。
法人税の基本とは
法人税とは、法人の所得に対して課税される税金のことです。ここでいう「所得」とは、売上や利益(益金)から経費や損失(損金)を差し引いた金額を指します。
計算式のイメージ
法人税は、普通法人(株式会社、有限会社など)や協同組合などに課されます。一方、公益法人や学校法人、宗教法人などは原則として法人税の対象外ですが、収益事業から得た所得については課税される場合があります。
法人税が課せられる法人と課せられない法人
課せられる法人
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株式会社、有限会社、医療法人、合資会社、合名会社
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農業協同組合、信用金庫、労働者協同組合など
課せられない法人
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公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人、学校法人、宗教法人
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地方公共団体、国立大学法人、公共法人など
※ただし、収益事業から得られた所得については課税対象となります。
法人税の計算方法と税率
法人税の基本的な計算式は以下の通りです。
課税所得
課税所得は、会計上の利益とは異なり、税務上の加算・減算を行った所得です。
加算例
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交際費の一部
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寄付金
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法人税自体
減算例
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欠損金の繰戻還付
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減価償却の超過額
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受取配当金の一部
法人税率(2022年4月以降)
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資本金1億円以下の普通法人:年800万円以下15%、超過分23.2%
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その他の普通法人:23.2%
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協同組合等:年800万円以下15%、超過分19%
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公益法人等:収益事業所得の年800万円以下15%、超過分23.2%
税額控除
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所得税額控除(受取配当金の二重課税回避)
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外国税額控除(海外で課税された税金の控除)
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租税特別措置法による控除(投資促進、雇用促進など)
法人税の申告と納付
確定申告
事業年度終了後、株主総会で決算承認を受けた後、原則2か月以内に法人税申告と納付を行います。例えば、3月決算の場合は5月末が期限です。
中間申告
事業年度6か月経過後、予定納税額が10万円を超える場合は中間申告が必要です。
納付方法
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クレジットカード納付(決済手数料あり、1,000万円以下)
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電子納付(ダイレクト納付、インターネットバンキング)
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窓口納付(金融機関や税務署)
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スマートフォン決済(PayPay、d払い、au PAYなど、30万円上限)
延滞した場合
期限内に納付しない場合、延滞税がかかります。2か月以内は年7.3%または延滞税特別基準割合+1%、2か月以降は最大で年14.6%になります。
法人税の節税方法
法人税は正しく理解すれば節税も可能です。代表的な方法は以下の通りです。
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役員報酬を増額する
所定の手続きを踏めば損金として計上可能。株主総会決議や個人の税金増加にも注意。 -
福利厚生を充実させる
健康診断、慰安旅行、借り上げ社宅の費用などを経費化。 -
在庫を処分する
不良在庫を安価で売却、廃棄、評価損計上により損金算入。
まとめ
法人税は、法人が事業活動で得た利益に課せられる国税で、適正な申告と納付が必要です。計算方法や税率を理解し、役員報酬や福利厚生、在庫処分などを活用して節税対策を行うことができます。初めて法人税を申告する場合は、会計ソフトや税理士のサポートを活用すると安心です。
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