企業経営者や経理担当者にとって、「税率」に関する理解は非常に重要です。
特に法人税や事業税などの税率を組み合わせた法定実効税率は、会計処理や税効果会計で欠かせない概念です。
この記事では、初心者でも理解できるよう、法定実効税率の基本から計算方法、表面税率との違いまでを丁寧に解説します。
法定実効税率とは?
法定実効税率とは、法人が所得に応じて負担する法人税、住民税、事業税などの表面税率をもとに計算される、総合的な税率のことです。
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表面税率(合計税率)は法律で定められた税率
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法定実効税率は、会計上の税効果処理で使用される実質的な税率
つまり、税金の申告や納付の際に使う表面税率と、会計上で利益計算の調整に使う法定実効税率は異なるため、区別して理解する必要があります。
企業が負担する主な税金と税率
法人が負担する税金には以下があります。
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法人税(国税):23.4%
法人の所得に応じて課税される国税で、赤字企業は免除されます。 -
地方法人税(国税):4.4%
法人税に連動して課税される国税です。 -
住民税(地方税):16.3%(東京都23区の場合)
道府県民税と市町村民税を合算した税率です。超過税率も適用される場合があります。 -
事業税(地方税):3.78%
法人の事業に課される地方税で、赤字企業は免除。課税所得に対して損金算入が可能なため、実効税率計算に影響します。
※税率は会社の規模や所在地により変動します。
表面税率と法定実効税率の計算方法
表面税率の計算式
例:東京都の外形標準課税対象法人
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標準税率のみで計算した場合:30.81%
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超過税率を含む場合:31.78%
法定実効税率の計算式
事業税は損金として算入されるため、実際の税負担は表面税率より低くなります。
例:東京都の外形標準課税対象法人
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標準税率のみで計算:29.74%
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超過税率を含む場合:30.62%
表面税率と実効税率がズレる理由
表面税率と法定実効税率が一致しない理由は、事業税が損金として算入されることにあります。
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損金とは、会計上の費用として所得から控除できる金額
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事業税を損金に算入すると課税所得が減少
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その結果、実際に負担する税率(実効税率)は表面税率より低くなる
例えば、表面税率で計算した税額が50万円でも、事業税を損金に算入すると48.1万円となり、差額1.9万円がズレとして現れます。
まとめ
法定実効税率を理解することで、会計処理や税効果計算が正確に行えます。ポイントは以下の通りです。
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法定実効税率は、法人税・地方法人税・住民税・事業税を総合した実質的な税率
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表面税率は申告や納税に使用する法定の税率
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ズレの原因は事業税の損金算入
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会社の規模や所在地により税率は変動するため、計算時には注意が必要
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