企業会計において欠かせない「固定資産」には、無形固定資産と有形固定資産の2種類があります。
「形のあるものか」「形のないものか」が大きな違いですが、減価償却の方法や会計処理の考え方も異なるため、正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、初めて固定資産を学ぶ方でもわかりやすいように、概要・種類・減価償却の基本・両者の違いをやさしく解説します。
「無形固定資産 減価償却」「有形固定資産 とは」といったテーマで調べている方にも役立つ内容です。
無形固定資産とは?
無形固定資産とは、物理的な形がない資産で、1年以上にわたって企業の収益活動に役立つものを指します。
貸借対照表では、固定資産のひとつとして「資産の部」に表示されます。
無形固定資産の種類
代表的な無形固定資産には以下があります。
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特許権・実用新案権
独自技術やアイデアを独占的に使える権利。 -
ソフトウェア
自社利用目的・販売目的・研究開発目的など用途により会計処理が異なります。 -
のれん(営業権)
M&A などで企業価値の上乗せ分として計上される無形価値。
無形固定資産の減価償却
無形固定資産は、原則として耐用年数に基づき定額法で減価償却します。
例:ソフトウェア(自社利用分)の耐用年数 → 3年
取得価額 ÷ 3年 = 毎期の償却費
耐用年数が法令で定められていない無形資産もありますが、その場合でも合理的な使用期間を見積もって償却します。
有形固定資産とは?
有形固定資産とは、形がある資産で、企業が長期間使用するものを指します。
主に営業活動の基盤となる設備や建物などが該当します。
有形固定資産の種類
主な有形固定資産は以下のとおりです。
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土地
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建物
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機械装置
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構築物
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車両・運搬具
工場設備やオフィスビルなど、企業活動に欠かせない資産が多く含まれます。
有形固定資産の減価償却
有形固定資産は、定額法または定率法によって減価償却します。
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定額法
取得価額 × 償却率(毎年同額の費用を計上) -
定率法
未償却残高 × 償却率(初期に多く償却する方法)
税務上、建物や構築物については定額法が必須です。
なお、土地は価値が減少しないため減価償却の対象外となります。
無形固定資産と有形固定資産の違い
| 資産の種類 | 主な特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| 無形固定資産 | 形がない・1年以上利用 | 特許権、ソフトウェア、のれん |
| 有形固定資産 | 形がある・長期使用 | 土地、建物、機械装置、車両 |
分類に迷ったら、まずは“目に見えるかどうか”を基準に考えると理解しやすくなります。
減価償却を正しく理解するメリット
減価償却は、企業の利益計算や税金に大きく影響する重要な会計処理です。
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毎期の費用配分が適切になる
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税務リスクを回避できる
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資産管理の精度が上がる
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経営判断(投資・予算策定)にも役立つ
特に、ソフトウェアや設備投資が増えている企業では、固定資産管理と減価償却の仕組みを理解しておくことが必要不可欠です。
まとめ:固定資産の性質を理解して正しく会計処理を行おう
無形固定資産と有形固定資産は、「形がないか・あるか」という点がもっとも大きな違いです。
どちらも企業の財務状況を表す重要な資産であり、種類によって減価償却の方法が異なります。
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無形固定資産 → ソフトウェア・特許権など(原則:定額法)
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有形固定資産 → 建物・機械など(定額法 or 定率法)
固定資産を正しく理解することは、企業の財務管理の精度を高めるうえで非常に重要です。
固定資産や減価償却に不安がある場合は、基本から体系的に学ぶことで、経理業務がぐっとスムーズになります。
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