確定申告をする必要があるのに期限までに申告をしなかった場合、「無申告加算税(むしんこくかさんぜい)」が課されることをご存じでしょうか。
この加算税は税務署からの指摘を受けたケースだけでなく、税金を期限内に納付していても、申告自体をしていなければ適用されてしまいます。
本記事では、無申告加算税の基本・税率・注意点・会計処理まで、会計の専門家としてわかりやすく解説します。
初めて確定申告をする人や、個人事業主の方にも理解しやすい内容にまとめました。
無申告加算税とは?基本のしくみをわかりやすく解説
無申告加算税とは、法定期限までに確定申告をしなかった場合に課される国税のことです。
重要なポイントは次のとおりです。
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たとえ「税金自体を期限内に納付していても」、申告をしていなければ加算税の対象になる
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法定期限を過ぎた後に申告すると、**通常は税額の15%**が加算される
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税務署から連絡を受ける前に「自主的に」申告した場合は、税率が5%に軽減される
例:よくある無申告のケース
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忙しくて確定申告を忘れてしまった
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収入が少ないから申告不要と思い込んでいた
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青色申告承認を受けているのに期限に間に合わなかった
「悪質な意図がなくても」加算税は課されるため、注意が必要です。
無申告加算税を含む「加算税の4種類」
無申告加算税は、税務上ペナルティとして課される「加算税」の一つです。
加算税は全部で4種類あり、それぞれ性質が異なります。
① 無申告加算税
期限までに申告をしなかった場合に課される加算税。
② 過少申告加算税
申告をしたが、申告した税額が本来より少なかった場合に課される加算税。
③ 重加算税
もっとも重いペナルティで、
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売上の隠蔽
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架空経費の計上
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虚偽の帳簿作成
など、「隠したり、嘘をついたりした」と判断されると課されます。
税額の**最大40%**が加算されるケースもあります。
④ 不納付加算税
源泉所得税などの源泉徴収した税金を期限までに納付しなかった場合に課される税。
無申告加算税の税率
税率は状況によって次のように変わります。
| ケース | 税率 |
|---|---|
| 税務調査など税務署の指摘によって申告した | 15% |
| 税務署の調査前に自主的に申告した | 5% |
対象となる税額が大きい場合は負担が増えるため、早めの自主申告が重要です。
個人事業主の会計処理:加算税は必要経費にできる?
結論から言うと、個人事業主が支払う加算税や延滞税は、必要経費にできません。
これは所得税法で明確に定められています。
● 個人事業主が加算税を支払った場合の処理
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事業用資金から支払ったとき
→「事業主貸」「資本金」「引出金」などの勘定で処理 -
個人資金から支払ったとき
→ 会計処理(仕訳)は不要
加算税はあくまで個人に課されるペナルティであり、事業のための支出ではないため、経費化は認められません。
● 会社(法人)が加算税を支払った場合
法人の場合は、次のように処理します。
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租税公課
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雑損失
法人税の計算では損金不算入となるケースがありますが、会計上は費用として認識します。
無申告加算税を避けるためにできる対策
✔ 会計ソフトを活用し、締め切り前に数字を確定させる
申告漏れの大きな原因は「準備不足」です。
✔ 税務署からのお知らせを見逃さない
青色申告者には「申告のお知らせ」が毎年届きます。
✔ 難しい場合は税理士に相談する
特に事業規模が大きくなると、申告漏れや計算ミスのリスクも増えます。
まとめ:無申告加算税は「申告が遅れただけ」でも課されるペナルティ
無申告加算税は、悪意がなくても申告期限を過ぎるだけで課される可能性があります。
ただし、税務署からの指摘前に自主的に申告すれば、5%まで軽減されるため、気づいたらすぐ対応することが大切です。
個人事業主の場合は必要経費にできない点にも注意が必要です。
確定申告は忘れず、早めに準備してトラブルを防ぎましょう。
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