企業の決算書を読むとき、「特別損益」という言葉を目にしたことはありませんか?
特別損益とは、会社の通常の営業活動とは直接関係のない、例外的な損失や利益のことを指します。
この記事では、特別損失や特別利益の具体例を交え、初心者にもわかりやすく解説します。
特別損益とは
損益計算書では、企業が日常的に行う事業活動による利益を「経常利益」として計上します。
その経常利益に、特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが「税引前当期純利益」となります。この経常利益の次の段階で計上される例外的な損益が「特別損益」です。
ポイントは以下の通りです。
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会社の通常の業務活動とは関係がない
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規則的・反復的には発生しない
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多額であることが多い
損益計算書には営業損益や経常損益も表示されますが、特別損益はその期だけに発生した臨時の損益として注目されます。
特別損失となるもの
特別損失(略して「特損」)は、企業にとって例外的・異常な事象に基づく損失です。
主な要件は以下の通りです。
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例外的または異常な事象であること
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金額が多額であること
特別損失の具体例
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固定資産の売却損や除去損
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長期間保有した株式や証券の売却損
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火災や自然災害による損失
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在庫商品の評価減
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リストラ費用や休業による損失
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減損損失
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情報漏えいや損害賠償対応費用
最近では、コロナ禍の影響による企業損失も特別損失として計上されるケースがあります。
特別利益となるもの
特別利益は、企業の通常の事業活動とは直接関係のない、例外的・臨時的な利益です。
特別損益と同じく「例外的」「多額であること」が条件ですが、前年度の引当金の戻入なども特別利益として計上されることがあります。
特別利益の具体例
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固定資産の売却益
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長期間保有した株式や証券の売却益
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保険金や投資有価証券の評価益
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給付金や助成金(特例的に計上される場合)
特別損益が多額の場合の注意点
多額の特別損失を計上すると、会社の利益は大きく変動します。
ここで注意すべきは、法人税法上の損金算入の可否です。
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固定資産売却損:原則として損金算入可能
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減損損失:損金不算入となる場合がある(特に土地の場合は売却するまで不算入)
このように、会計上の処理と税務上の扱いが異なる場合がありますので注意が必要です。
特別損益と国際会計基準
日本の会計制度には特別損益の区分がありますが、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US-GAAP)には存在しません。
そのため、国際的な比較を行う際には調整や注記が必要となります。
まとめ
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特別損益は、経常利益に加減される例外的な損益
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特別損失は自然災害や減損などの臨時的損失
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特別利益は資産売却益や引当金戻入などの臨時的利益
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多額の場合は税務上の扱いに注意
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国際会計基準では特別損益の区分はない
特別損益を理解すると、決算書の読み方がぐっとわかりやすくなります。
会計初心者でも、損益計算書を正しく読み解く力が身につきます。
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