現物給与とは

現物給与とは?厚生年金や健康保険での扱いと計算方法をわかりやすく解説

会社員として働くと、給料は通常「お金(通貨)」で受け取ります。

ですが、給与の一部が 食事・社宅・自社製品などの“現物” で支給される場合があります。これを 現物給与(げんぶつきゅうよ) といいます。

現物給与も、厚生年金や健康保険の 標準報酬月額 を決める際に考慮されるため、保険料や将来の年金額に影響します。本記事では、現物給与の仕組みと計算方法、注意点をわかりやすく解説します。

現物給与とは?

現物給与 とは、労働の対価として会社から「物品やサービス」として受け取る給与を指します。

  • 例:社員食堂の食事、社宅や寮、会社から支給される自社製品 など

現物給与がある場合は、その価値を 通貨に換算 して通常の給与に合算し、標準報酬月額を計算します。

現物給与の換算方法

現物給与を金額に換算する方法は、支給される内容によって異なります。

  1. 食事や住宅の場合
    → 厚生労働大臣が定めた「現物給与の価額(厚生労働省告示)」に基づいて換算します。

    • 例:食事1食あたり○○円、住宅(月額)○○円

  2. その他(自社製品やサービスなど)の場合
    → 原則として 時価 を基準に換算します。

このように、全国一律のルールで価額が定められているため、公平に標準報酬月額へ反映できる仕組みになっています。

標準報酬月額と保険料への影響

現物給与を含めた金額で 標準報酬月額 が決まるため、以下に直接影響します。

  • 厚生年金保険料

  • 健康保険料

  • 将来受け取る年金額

例えば、月給20万円の社員が会社から「社宅(現物給与として2万円相当)」を受けている場合、標準報酬月額は 22万円として計算 されます。

その結果、毎月の社会保険料や将来の年金額も変わってきます。

都道府県ごとの取扱い(本社・支店の違い)

平成25年4月1日以降は、本社管理の事業所(本社と支店をまとめて1つの適用事業所として扱う場合)であっても、現物給与の価額は 支店等が所在する都道府県の基準額 が適用されることになっています。

つまり、同じ会社でも支店所在地によって現物給与の金額が異なる場合があります。

まとめ

  • 現物給与 とは、食事や住宅、自社製品など「物やサービス」で支給される給与のこと。

  • 標準報酬月額を算出する際に、現物給与も通貨換算して合算する。

  • 食事・住宅は「厚生労働大臣が定める価額」、その他は「時価」で計算。

  • 標準報酬月額に反映されるため、保険料や将来の年金額に影響 する重要な仕組み。

  • 本社管理の事業所でも、現物給与は「支店の所在地」に応じた価額を用いる。

現物給与は「おまけ」のように感じるかもしれませんが、保険料や年金額に直結する大切な制度です。自分の給与明細や勤務条件に現物給与が含まれているか、一度チェックしてみると安心です。

さらに参照してください:

厚生年金基金とは 制度の仕組みと役割、現在の状況をわかりやすく解説