短期貸付金とは

短期貸付金とは?意味・注意点・税務上のルールまでわかりやすく解説

短期貸付金は、企業が取引先や子会社、役員や従業員などに「1年以内の返済期限」でお金を貸したときに使う勘定科目です。実務ではよく登場するにも関わらず、税務上の扱いで思わぬ課税が発生することもあるため、きちんと理解しておきたい項目です。ここでは、短期貸付金の基本、具体例、税務上の注意点まで、わかりやすく解説します。

短期貸付金とは

短期貸付金とは、金銭消費貸借契約や準消費貸借契約に基づき、1年以内の返済期間で資金を貸し付けた場合の勘定科目です。返済期限が1年を超えると「長期貸付金」として処理します。

法人の場合は貸付金の利息を「受取利息」として計上し、個人事業主の場合は「雑収入」として扱います。

短期貸付金に該当する代表的なケース

短期貸付金は次のような場面でよく使われます。

・資金繰りが厳しい子会社や下請け企業に、運転資金を一時的に貸し付ける
・従業員の福利厚生として、住宅取得資金や冠婚葬祭費などを貸し付ける

企業の関係者へ融資する場面は幅広く、実務でも頻繁に発生します。

従業員・役員への貸付と税務上の注意点

短期貸付金は、銀行などより有利な条件で貸し付けることが多くあります。ただし、ここで注意したいのは「無利息や低利で貸した場合に課税が生じる可能性がある」という点です。

利息が通常より低いと、その差額は「経済的利益の供与」とみなされ、給与として課税されます。つまり、会社側は源泉徴収が必要になります。

国税庁が示す課税ルール(特例基準割合)

国税庁のタックスアンサー「No.2606 金銭を低い利息で貸し付けたとき」では、短期貸付金に関する課税の考え方が示されています。

平成26年以降は、貸付日に属する年の「特例基準割合」以上の利率で貸し付ければ給与課税の対象になりません。例として平成26年の特例基準割合は1.9%でした。

1.9%未満の利率で貸し付けた場合は、原則として以下の例外に該当しなければ課税されます。

(1) 災害・病気などで臨時に多額の生活資金が必要な場合
(2) 会社が合理的な貸付利率(借入金の平均調達金利など)を設定し、それに基づいて貸し付けている場合
(3) 利息の差額が年間5,000円以下の場合

また、貸付資金を銀行から借入している場合は、その借入利率を基準に計算します。

税務調査で指摘されやすい部分なので、貸付契約書の作成や利率設定は必ず慎重に行いましょう。

まとめ

短期貸付金は、取引先支援や従業員の福利厚生など、企業活動の中で広く使われる勘定科目です。ただし、利率の設定を誤ると給与課税が発生するおそれがあります。契約内容や利率を明確にし、国税庁のガイドラインに沿って適切に処理することが大切です。

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