海外に派遣される日本人が増える中で、年金や社会保険の二重加入や年金受給資格の問題が発生しています。
こうした課題を解決するために「社会保障協定」が締結され、海外勤務者でも無駄なく年金を受け取れる制度が整備されています。
今回は、社会保障協定の仕組みや活用方法をわかりやすく解説します。
社会保障協定とは?
社会保障協定とは、日本と他国との間で締結される制度で、年金や社会保険の加入状況を調整する取り決めです。
海外勤務者が日本と外国の両方の制度に加入して保険料を二重で払うことを避け、将来の年金受給をスムーズにすることを目的としています。
二重加入と年金受給資格の問題
海外派遣者は、次のような課題に直面することがあります。
-
二重加入の問題
-
日本と派遣先国の両方で年金や健康保険に加入する必要があり、保険料負担が二重になる場合があります。
-
-
年金受給資格の問題
-
派遣期間が短い場合、派遣先国の年金制度の加入期間が不足して年金がもらえないことがあります。
-
その結果、納めた保険料が掛け捨てになってしまう可能性があります。
-
社会保障協定の主な内容
社会保障協定には、主に以下の2つの仕組みがあります。
1. 適用調整
-
派遣期間が5年以内の場合
→ 当該期間中は派遣先国の制度の適用を免除し、日本の制度のみを適用 -
派遣期間が5年を超える見込みの場合
→ 派遣先国の制度のみを適用
例:日本企業からフランスへ3年間派遣された場合、日本の年金制度だけに加入すればよく、フランスで二重に保険料を払う必要はありません。
2. 保険期間の通算
-
日本と派遣先国の加入期間を合算し、年金受給資格期間を満たすか確認
-
必要な加入期間を満たしていれば、それぞれの国で比例した年金を受給可能
例:日本で10年、ドイツで3年勤務した場合、それぞれの期間を通算して受給資格を判定。条件を満たせば、日本とドイツ両方から年金を受け取れます。
社会保障協定を活用するポイント
-
派遣前に自分が対象かどうかを確認する
-
派遣先国の年金制度や協定内容を理解する
-
必要書類を揃えて年金事務所に申請する
これにより、海外勤務中も無駄なく年金を受け取ることができます。
まとめ
-
社会保障協定は、海外派遣者の二重加入や年金受給資格不足を防ぐ制度です。
-
適用調整と保険期間通算の2つの仕組みによって、派遣期間や加入状況に応じて適切に年金を受給できます。
-
海外勤務を控えている場合は、早めに協定の内容を確認し、必要な手続きを進めることが重要です。
さらに参照してください: