「65歳からもらえる年金って、60歳のときより少なくなるの?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、特別支給の老齢厚生年金を受け取っている方の中には、65歳以降になると受給額が下がってしまうケースがあります。
この“受給額の差”を埋めるために設けられているのが、**「経過的加算(けいかてきかさん)」**という仕組みです。
この記事では、「経過的加算」の基本的な意味や制度の背景、対象となる人、注意点について、わかりやすく解説します。
🔍 経過的加算とは?
経過的加算とは、特別支給の老齢厚生年金から65歳以降の年金に移行した際、受給額が減少しないよう差額を補うための年金額のことをいいます。
具体的には、以下のような状況を想定した制度です。
📘 背景:65歳以降に年金額が下がってしまう理由
日本の年金制度では、年代ごとの制度変更の影響で、60歳以降と65歳以降で年金の仕組みが異なります。
特別支給の老齢厚生年金(60歳~64歳)
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定額部分(基礎部分)+報酬比例部分
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比較的多めに支給される
65歳以降
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老齢基礎年金+老齢厚生年金
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ただし、老齢基礎年金の額は定額部分より低いことがある
このように制度の仕組みによって「65歳以降の方が年金が少ない」という逆転現象が起きることがあるのです。
✅ 経過的加算の役割と対象者
この“逆転現象”を防ぐため、60~64歳で受給していた額と65歳以降の額との差額を補うのが経過的加算です。
対象となるのはこんな方
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特別支給の老齢厚生年金を受けていた人
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1961年4月1日以前に生まれた男性、または1966年4月1日以前に生まれた女性
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65歳以降も年金を受給している人
経過的加算は、自動的に計算・支給されるため、特別な申請は不要です。
💡 わかりやすい例でイメージしてみよう
事例:60歳から年金を受け取っていたAさんの場合
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60歳〜64歳:特別支給の老齢厚生年金
→ 月額20万円(定額部分+報酬比例部分) -
65歳以降:老齢基礎年金+老齢厚生年金
→ 月額18万円(老齢基礎年金が定額部分より少ない)
このとき、差額の2万円が「経過的加算」として上乗せされ、Aさんは引き続き月額20万円を受け取れる仕組みとなります。
🧾 経過的加算に関する注意点
注意点 | 内容 |
---|---|
自動的に支給される | 基礎年金と厚生年金の支給時に自動計算される |
金額は人によって異なる | 加算額は、60~64歳の受給額と65歳以降の差額によって変動 |
将来的には制度終了予定 | 新たに特別支給を受けられる世代が減るため、段階的に終了予定 |
📌 まとめ|経過的加算は「年金格差を補う」大切な調整措置
経過的加算は、年金制度の過渡期にある世代が不利益を受けないように設けられた、一時的かつ重要な調整制度です。
制度を知らずに「65歳から年金が減った…」と不安になる方もいるかもしれませんが、きちんと設計された加算措置によって、差額は補われるようになっています。
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