企業会計を学ぶ上で必ず登場する概念の一つが「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)」です。
これは、会社が今後も事業を継続していくことを前提として会計処理を行うという考え方で、財務諸表の信頼性を支える重要な基礎となっています。
本記事では、会計初心者にもわかりやすく「継続企業の前提」の意味や重要性、疑義がある場合の対応までを解説します。
🔹 継続企業の前提とは?
「継続企業の前提(ごうけいきぎょうのぜんてい)」とは、
企業が将来にわたって事業活動を継続していくことを前提に会計処理を行う考え方のことです。
英語では Going Concern(ゴーイングコンサーン) と呼ばれます。
たとえば、会社が今後も存続していくという前提があるからこそ、
・固定資産を耐用年数にわたって減価償却したり
・将来支払う負債を長期的に計上したり
といった会計処理が成り立ちます。
もしこの前提が崩れると、資産や負債の評価方法そのものを見直す必要が生じるのです。
🔹 継続企業の前提が崩れるとどうなる?(精算企業の前提)
企業が将来も存続できないと判断される場合、
「継続企業の前提」ではなく「精算企業の前提」に切り替えられます。
精算企業の前提では、会社が清算されることを前提に会計処理を行うため、
資産は回収可能価額(売却できる価格)で評価し、
負債はすぐに支払うべき金額として計上します。
つまり、企業の“終わり”を前提にした財務諸表へと変わるわけです。
🔹 継続企業の前提に「疑義」があるケース
次のような状況では、継続企業の前提に疑義(ぎぎ)が生じる可能性があります。
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多額の債務超過に陥っている
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返済不能に近い資金繰りの悪化
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主要取引先の喪失
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経営者交代などによる事業継続の不透明化
このような場合、**経営者は財務諸表の注記に「継続企業の前提に関する注記」**を記載し、
その内容を開示する必要があります。
また、**監査人(公認会計士や監査法人)**は、企業の存続可能性について独自に検討し、
必要に応じて「継続企業の前提に重要な不確実性が認められる」と意見を付すことがあります。
🔹 経営者と監査人の対応
継続企業の前提に疑義があるとき、経営者は単に開示するだけでなく、
次のような経営改善計画を策定することが求められます。
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不採算事業の縮小や撤退
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新たな資金調達の実施
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コスト削減や収益構造の見直し
監査人はこれらの改善計画の実現可能性を検討し、
それを踏まえて監査報告書に意見を表明します。
🔹 なぜ「継続企業の前提」が重要なのか?
この前提があるからこそ、
企業の財務諸表は時間的な一貫性と比較可能性を保つことができます。
もし「継続企業の前提」がなければ、
企業の資産や負債を正しく評価することが難しくなり、
投資家や金融機関が信頼できる判断を下すこともできません。
つまり、継続企業の前提は、会計の根幹を支える基礎原則なのです。
🔹 まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用語 | 継続企業の前提(ゴーイングコンサーン) |
| 意味 | 企業が将来も事業を続ける前提で会計処理を行う考え方 |
| 崩れる場合 | 経営悪化・債務超過・資金繰り悪化など |
| 対応 | 注記の開示・改善計画の策定・監査人の意見表明 |
| 英語表記 | Going Concern |
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