相続の手続きにおいて必ず出てくる用語のひとつが 「被相続人(ひそうぞくにん)」 です。
「相続人」と混同されやすいため、正しく理解しておくことがスムーズな相続の第一歩となります。
この記事では、被相続人の意味、相続人との違い、遺言や法定相続分との関係を初心者にもわかりやすく解説します。
被相続人とは?
被相続人とは、相続財産(生前に有していた権利や義務)を残して亡くなった人のことをいいます。
相続財産には以下のようなものが含まれます。
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預貯金
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不動産(自宅や土地)
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株式・投資信託などの有価証券
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借金やローンなどの負債
👉 ポイント
被相続人が遺すのは「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産」も含まれるため、相続を受けるかどうかは相続人の判断が重要です。
被相続人と相続人の違い
相続に関わる2つの立場を整理すると、次のようになります。
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被相続人:財産を残す人(亡くなった人)
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相続人:財産を受け継ぐ人(配偶者・子どもなど)
具体例
父が亡くなり、母と子どもが財産を引き継ぐ場合:
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父 → 被相続人
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母・子ども → 相続人
被相続人と遺言の関係
被相続人は、生前に 遺言書 を作成しておくことで、相続財産の分け方を決めることができます。
ただし、遺言には制約があり、相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限の取り分が保障されています(民法1028条)。
このため、被相続人が「特定の人にすべての財産を与える」と遺言しても、遺留分を侵害する部分は無効となります。
遺言がない場合は「法定相続分」に従う
もし被相続人が遺言を残さなかった場合、相続は 法定相続分(民法900条) に従って行われます。
代表的な相続分は以下のとおりです。
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配偶者と子ども → 配偶者1/2、子ども1/2(子どもは均等割り)
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配偶者と父母 → 配偶者2/3、父母1/3
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配偶者と兄弟姉妹 → 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
実務上の注意点
相続の場面で「誰が被相続人か」を明確にすることは非常に大切です。
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連続相続に注意
例:父が亡くなった直後に母も亡くなった場合、それぞれが被相続人となり、相続手続きは複雑化します。 -
生命保険と相続は別物
生命保険金は契約上の「受取人」に支払われ、必ずしも相続人に分配されるわけではありません。 -
専門家への相談が有効
被相続人の財産が多岐にわたる場合や、相続人間で意見が分かれる場合は、弁護士・税理士・司法書士など専門家への相談が安心です。
まとめ
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被相続人とは、亡くなったことで財産を遺す人のこと
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相続人は、被相続人の財産を受け継ぐ人
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遺言があればその内容に従い、なければ 法定相続分 に基づいて相続が行われる
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相続では「遺留分」に注意が必要
被相続人という基本用語を正しく理解しておくことで、相続の流れをスムーズに把握できるようになります。
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