所得税を計算する上で欠かせないのが「課税所得」です。
課税所得とは何か、どのように計算されるのか、そしてどんな控除や非課税制度があるのか——この記事では、初心者でも理解できるようにやさしく解説します。
確定申告や年末調整の際に役立つ知識として、ぜひ押さえておきましょう。
🧾 課税所得とは?
「課税所得(かぜいしょとく)」とは、その名の通り所得税の課税対象となる所得のことを指します。
個人が得たすべての収入(給与所得、事業所得、不動産所得など)から、非課税所得や所得控除の対象となる金額を差し引いた後に残る部分が課税所得です。
つまり、
総所得 − 非課税所得 − 所得控除 = 課税所得
となります。
この課税所得の金額に応じて、国税である所得税や住民税が課される仕組みです。
💡 非課税所得とは?課税対象外となる収入の例
非課税所得とは、法律上「税金を課さない」と定められている所得を指します。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
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死亡や障害が支給理由となる年金
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損害賠償金、見舞金、慰謝料など
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雇用保険の失業給付
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労災保険の給付や休業補償
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生活用動産(家具や衣服など)を売却した際の所得
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65歳以上の方が財産形成貯蓄制度を利用して得た利子・配当金
これらは、生活保障や社会的救済を目的としており、所得税の課税対象外とされています。
✍️ 所得控除とは?課税所得を減らす重要な仕組み
課税所得を減らすもう一つの大きな要素が「所得控除」です。
所得控除とは、納税者の事情(家族構成、医療費負担、社会保険料など)を考慮し、一定額を所得から差し引くことができる制度です。
代表的な控除には以下のような種類があります。
主な所得控除一覧
| 控除の種類 | 概要 |
|---|---|
| 基礎控除 | すべての納税者が受けられる基本的な控除(48万円) |
| 配偶者控除/配偶者特別控除 | 配偶者の所得が一定額以下のときに受けられる控除 |
| 扶養控除 | 生計を共にする扶養家族がいる場合に受けられる控除 |
| 医療費控除 | 年間医療費が10万円を超えた際に適用 |
| 社会保険料控除 | 健康保険や年金などの保険料を支払った際に適用 |
| 生命保険料控除 | 支払った生命保険料に応じて控除される制度 |
| 勤労学生控除 | 学生で一定所得以下の場合に受けられる控除 |
| 障害者控除/寡婦・寡夫控除 | 障害者やひとり親の場合に受けられる控除 |
| 雑損控除 | 災害や盗難などにより資産に損害を受けた場合 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済などの掛金を支払った際に適用 |
| 寄付金控除 | 公的機関や認定NPO法人への寄付が対象 |
これらの控除を適切に申請することで、課税所得を大幅に減らし、結果として所得税の負担を軽くすることができます。
📊 課税所得の計算例
たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
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年間の給与収入:500万円
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給与所得控除:100万円
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所得控除(基礎控除48万円、社会保険料控除70万円、配偶者控除38万円)合計156万円
👉 この場合の課税所得は次のように計算されます。
この244万円に対して、所得税率が適用されることになります。
🧮 まとめ:課税所得を正しく理解して、無駄のない納税を
課税所得は、私たちの税負担を決定する最も重要な要素です。
非課税所得や所得控除の仕組みを理解することで、適正な納税を行い、節税効果を最大限に活用することができます。
特に、医療費控除や寄付金控除などは見落とされがちな制度なので、確定申告時にはしっかり確認しておきましょう。
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