諾成契約(だくせいけいやく)とは、当事者同士が**「契約したい」という意思表示をお互いに行い、その意思が一致するだけで成立する契約**のことです。
書面や物品の受け渡しがなくても、口頭やメールなどで意思が合致すれば契約は成立します。
諾成契約の基本的な仕組み
契約には大きく分けて2種類あります。
-
諾成契約:意思表示の合致だけで成立する契約
-
要物契約:契約の成立に加えて、物や金銭の受け渡しが必要な契約
諾成契約は、成立のために物の引き渡しや代金の支払いといった実行行為は不要です。
例えば、不動産の売買契約や雇用契約も、当事者間で合意すれば諾成契約として成立します。
保険契約と諾成契約の関係
保険契約は典型的な諾成契約です。
具体的には次の流れで成立します。
-
契約者が保険に加入したい旨を申し込み(申込書の提出やネットでの申込み)
-
保険会社がその内容を承諾(引受承諾)
-
両者の意思表示が一致した時点で契約成立
つまり、保険証券の発行や保険料の支払いがまだであっても、承諾の意思表示があれば契約は有効となります。
実務上の注意点
-
保険契約が成立すると、契約者には告知義務や保険料支払い義務が発生します。
-
口頭でも契約は成立しますが、後日のトラブル防止のために契約書や申込書の控えを必ず保管しましょう。
-
生命保険や損害保険の一部では、「告知内容の確認」や「契約日」の取り扱いが重要になるため、成立時点の記録が大切です。
具体例:自動車保険のケース
Aさんが自動車保険をネットから申し込み、翌日に保険会社から「引き受けます」という承諾メールが届いた場合、この時点で契約は成立します。
保険証券の郵送や保険料の引き落としが後日であっても、法律上は契約が有効に成立しているのです。
まとめ
-
諾成契約は意思表示が一致した時点で成立する契約形態。
-
保険契約も諾成契約に該当し、承諾があれば物や金銭の受け渡しがなくても成立する。
-
成立時点の記録や条件の確認は、トラブル防止のために重要。
さらに参照してください: