会社の経営や財務管理に携わる方にとって、「販売費及び一般管理費(販管費)」は必ず押さえておきたい重要な費用項目です。
この記事では、販売費及び一般管理費の意味、内訳、勘定科目、決算書での確認方法、さらに分析や削減のポイントまで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。
1. 販売費及び一般管理費(販管費)とは
販売費及び一般管理費とは、会社が商品やサービスを販売するため、または会社全体の運営を行うために必要な費用の総称です。具体的には、以下の2種類に分けられます。
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販売費:商品やサービスの販売活動に関連する費用。販売員の人件費、広告宣伝費、配送費などが含まれます。
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一般管理費:会社全体の管理業務に必要な費用。事務員の人件費、オフィス家賃、水道光熱費、減価償却費などが含まれます。
損益計算書では、売上総利益からこの販管費を引くことで営業利益を計算することができ、会社の収益力を把握する上で重要な指標となります。
2. 販売費と一般管理費の違い
| 項目 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 販売費 | 商品やサービスの販売活動に関連する費用 | 売上に比例して変動しやすい費用(変動費) |
| 一般管理費 | 会社の運営や管理に必要な費用 | 月ごとに変動が少ない費用(固定費) |
2つの区分に分ける理由は、費用の性質が異なるためです。販売費は売上活動に直接結びつきやすく、一般管理費は会社全体の運営費として安定的に発生するため、区別して管理することで財務分析がしやすくなります。
3. 販売費・一般管理費の内訳・勘定科目一覧
3-1. 販売費の主な勘定科目
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広告宣伝費:広告費、チラシ印刷代など
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販売手数料:代理店や委託業者への手数料
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荷造運賃:商品発送にかかる費用
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販売促進費:キャンペーン、サンプル配布費用
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接待交際費:取引先との接待費や慶弔費
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旅費交通費:営業活動に伴う交通費・出張費
3-2. 一般管理費の主な勘定科目
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役員報酬:役員への給与
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給与賃金・雑給:従業員やアルバイトへの給与
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法定福利費・福利厚生費:社会保険料、健康診断費
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修繕費・外注工賃:オフィスや機械のメンテナンス費用
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水道光熱費・地代家賃:オフィス運営にかかる固定費
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消耗品費・通信費・車両費・リース料:日常運営に必要な経費
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減価償却費:資産計上している設備の当期費用計上分
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租税公課・保険料・諸会費・支払手数料:税金、保険、会費、手数料等
※業種によって、人件費の一部が売上原価に含まれる場合があります。例:製造業の工場従業員の給与は売上原価に計上。
4. 販売費及び一般管理費は決算書でどこに記載される?
販売費及び一般管理費は、損益計算書に「売上総利益」の下に記載されます。この項目を差し引くことで営業利益が算出されます。内訳の詳細は損益計算書内に記載するか、別紙でまとめて記載されることが多いです。
5. 販売費及び一般管理費を用いた分析方法
5-1. 販売費比率(販売管理費比率)
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販売費比率=販売費 ÷ 売上高 ×100
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販売管理費比率=販売費及び一般管理費 ÷ 売上高 ×100
例:販売費100万円、一般管理費200万円、売上高1,000万円の場合
販売費比率:100 ÷ 1,000 ×100=10%
販売管理費比率:(100+200)÷1,000×100=30%
5-2. 分析ポイント
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時系列で比較:一定期間の推移を確認し、費用増減の影響を把握
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業界基準との比較:同業他社と比べ、効率性を評価
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費用内訳の分析:広告費、人件費、物流費などの内訳を確認
6. 販管費を削減するポイント
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役員報酬の見直し:適正額かを定期的にチェック
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人件費の適正化・システム導入:無駄な残業削減や業務効率化
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賃貸オフィスの見直し:スペース縮小や立地変更によるコスト削減
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広告の見直し:費用対効果の高いプロモーションへの集中
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旅費交通費の削減:Web会議や法人プランの活用
まとめ
販売費及び一般管理費は、会社の営業利益や経営効率を評価する上で非常に重要な費用です。費用の内訳や比率を把握し、定期的に分析・見直すことで、無駄な支出を削減し、効率的な経営に役立ちます。損益計算書を正しく理解し、販管費を適切に管理することが、健全な財務運営の第一歩です。
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