資金繰りに悩む中小企業やスタートアップ企業にとって、「資本性ローン」は注目すべき資金調達手段の一つです。
「借入なのに自己資本にカウントできる?」
「無担保・無保証って本当?」
この記事では、会計の専門家が「資本性ローン」の仕組みやメリット、注意点をわかりやすく解説します。
🏢 資本性ローンとは?──挑戦する企業を支援する特別な融資制度
資本性ローン(しほんせいローン)とは、日本政策金融公庫(JFC)が実施している新しい資金供給制度のことです。
正式名称は「挑戦支援資本強化特例制度」。
この制度は、次のような目的で設けられました:
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創業初期の資金繰りを支援
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新規事業に挑戦する中小企業の財務体質を強化
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将来の成長を見据えた資金調達を後押し
特に「技術・ノウハウなどに新規性が認められる事業」など、一定の条件を満たす企業が対象となります。
⚙ 資本性ローンの仕組みと特徴
資本性ローンは、通常の融資と異なり、**「借入金でありながら自己資本として扱える」**というユニークな仕組みを持っています。
この点が、金融機関の信用評価や資金調達力に大きく影響します。
主な特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 💴 無担保・無保証 | 担保や保証人が不要で利用しやすい |
| 📉 金利は業績連動制 | 会社の業績に応じて金利が変動(利益が少ない時は低金利) |
| 🧾 自己資本への参入が可能 | 会計上、自己資本として扱えるため財務体質が改善される |
| 🚫 繰上返済が不可 | 原則として返済期限前に返すことができない |
つまり、資本性ローンは「借入金のようでありながら、実質的に資本に近い性質」を持つ資金です。
🏦 資本性ローンの3つの制度タイプ
日本政策金融公庫では、企業の規模や業種に応じて3種類の資本性ローン制度を用意しています。
利用条件や融資上限、返済期間はそれぞれ異なるため、どの制度が自社に適しているかを確認しましょう。
| 制度名 | 対象者 | 融資上限額(目安) | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 🇯🇵 国民生活事業 | 個人事業主・小規模企業 | 約7,200万円まで | 創業・小規模事業者向け |
| 🏭 中小企業事業 | 中堅規模の中小企業 | 約7億2,000万円まで | 新規事業・成長投資を支援 |
| 🌾 農林水産事業 | 農業・水産業関連事業者 | 約3億円まで | 農林水産業の経営強化を支援 |
💡 各制度ともに、繰上返済は不可です。長期的な資金として活用する前提で検討しましょう。
📈 資本性ローンを利用するメリット
✅ 1. 財務体質の改善が可能
自己資本に参入できるため、自己資本比率が向上します。
これにより、他の金融機関からの追加融資を受けやすくなる効果も期待できます。
✅ 2. 金利負担を抑えられる
業績連動制のため、創業初期や赤字期でも金利負担が軽くなります。
成長段階に合わせて負担を調整できる点が大きな魅力です。
✅ 3. 担保・保証人が不要
創業間もない企業でも利用しやすい制度設計です。
代表者の個人保証を避けたい場合にも適しています。
⚠ 資本性ローンを利用する際の注意点
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繰上返済ができないため、長期的な資金計画を立てることが重要です。
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業績に応じて金利が上昇する場合もあるため、将来の返済負担も見据えておきましょう。
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審査においては「事業の新規性・将来性・経営者の計画性」が重視されます。
💬 専門家のアドバイス:こんな企業におすすめ!
資本性ローンは、次のような企業に特におすすめです。
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🚀 創業間もないスタートアップ企業
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💡 新規事業・新技術に挑戦する中小企業
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🏢 財務体質を改善したい企業
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🤝 他の金融機関との取引を強化したい企業
資本性ローンは「借入」でもありながら、「資本」としても機能するユニークな制度です。
上手に活用することで、企業の信頼性や資金調達力を大きく高めることができます。
📚 まとめ:資本性ローンは中小企業の“第二の資本”になりうる
| ポイントまとめ |
|---|
| ・資本性ローンは日本政策金融公庫による特別な融資制度 |
| ・無担保・無保証で利用可能 |
| ・自己資本に算入でき、財務体質の改善に有効 |
| ・業績に応じて金利が変動、創業期の負担が軽い |
| ・繰上返済ができない点に注意 |
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