**過失相殺(かしつそうさい)**とは、交通事故などで損害が発生した際、加害者だけでなく被害者にも過失がある場合に、被害者の過失分を考慮して損害賠償額を減額する仕組みです。
損害を公平に分担するという考え方に基づき、主に損害保険(特に自動車保険)の分野で重要な概念です。民法にも規定されています。
✅ 過失相殺の基本的な考え方
交通事故などでは「被害者=完全に悪くない」とは限りません。例えば:
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加害者が赤信号を無視して交差点に進入した
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でも被害者も安全確認を怠っていた
このように、被害者にも過失(注意義務違反)があると判断される場合、加害者の責任だけで全額を賠償させるのは公平ではありません。
そこで、被害者側の過失割合に応じて損害額を減額します。これが「過失相殺」です。
✅ 具体的な例でイメージしよう
たとえば:
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損害額:1000万円
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被害者の過失割合:20%
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加害者の過失割合:80%
被害者にも2割の過失があるため、賠償額は以下のように計算されます。
つまり、被害者は800万円を受け取ります。残り200万円分は自分の過失分として負担します。
✅ 過失割合はどう決まる?
過失割合は、事故の状況に応じて決まります。ポイントは「注意義務違反があったか」です。
例:
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車同士の出会い頭衝突 → 信号・一時停止無視、徐行義務違反
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車と歩行者の事故 → 歩行者側の飛び出し、信号無視
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自転車事故 → 一時停止無視、夜間無灯火
保険会社は過去の判例やガイドラインを基に、事故状況を細かく分析し、過失割合を判断します。
✅ 過失相殺は法律(民法)でどう規定されている?
民法第722条では、被害者にも過失があった場合に賠償額を減額できると定めています。
民法第722条
「被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定める。」
つまり、過失相殺は法律上も認められた公平負担の原則です。
✅ 保険の実務での「過失相殺」
損害保険(特に自動車保険)の事故対応では、示談交渉の際に過失割合を話し合い、最終的な賠償額を決めます。
被害者側も過失を認める場合、自分の保険(人身傷害補償保険など)を使って補填することも多いです。
✅ まとめ
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過失相殺とは
→ 加害者・被害者双方に過失がある場合、被害者の過失分を差し引いて賠償額を決める仕組み。 -
なぜ必要?
→ 損害の公平な負担を図るため。 -
どこで使われる?
→ 主に交通事故などの損害保険の示談・裁判で。
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