過少申告加算税とは

過少申告加算税とは?課税される条件と計算方法、免除されるケースまで解説

確定申告を行う際、自分で申告した税額が実際の税額よりも少ないと、ペナルティとして 過少申告加算税(かしょうしんこくかさんぜい) が課される可能性があります。
この制度は、納税者に正しい申告を促す目的で設けられており、ただのミスでも課税対象となることがあります。

この記事では、過少申告加算税の基本、課税される具体的なケース、計算方法、課税免除・軽減される条件、延滞税との関係などを、税務に詳しい専門家の視点から丁寧に解説します。

過少申告加算税とは何か?

過少申告加算税は、提出期限内に申告書を提出したものの、「本来納めるべき税額を過少に申告した」場合に課される加算税です。
税務上の不備や故意・過失に対するペナルティとして、追加納税額に一定の割合を加えて納めなければなりません。

この加算税は、税法上の「附帯税(ふたいぜい)」に分類され、無申告加算税・不納付加算税・重加算税・延滞税などと並びます。

どのような場合に課税されるのか?

過少申告加算税が課されるのは、以下のような状況です。

  • 期限内申告した後、修正申告や税務署の更正によって追加納税が生じた場合

  • 当初申告額が実際の税額を下回っており、誤りがあったと認められる場合

ただし、課税割合や適用範囲は状況に応じて異なり、次のパターンがあります:

ケース 加算税率
提出期限内に申告 → 修正・更正で追加納税 追加納税額の 10%。ただし、申告額と50万円のうち多い方を超える部分は 15%に増えることがある
税務調査前の自主的な修正申告 加算税が 免除されることがある(後述)
調査通知後・更正時点で故意と認められる場合 より重い「重加算税」が課される可能性

過少申告加算税の計算方法

過少申告加算税を計算するには、まず「増差税額(実際の税額 − 当初申告税額)」を求めます。
そのうえで、以下のように割合をかけます。

基本パターンの計算例

  • 当初申告税額:100万円

  • 修正後の正しい税額:400万円

  • 増差(追加納税額):300万円

このうち、最初の部分(基準額相当まで)は 10%、それを超える部分には 15% の税率を適用するケースがあります。

具体的には:

  1. 100万円 × 10% = 10万円

  2. 残り 200万円 × 15% = 30万円

  3. 合計:10万円 + 30万円 = 40万円 → これが過少申告加算税額となります

この金額に加えて「延滞税」が発生することもあります。

過少申告加算税が課されない・軽減されるケース

すべての過少申告がペナルティになるわけではありません。以下の条件を満たせば、過少申告加算税が免除または軽減される場合があります。

自主的に修正申告を行ったとき(税務調査通知前)

税務署から調査通知を受ける前に、自ら誤りを認めて修正申告を行った場合には、過少申告加算税が課されないことがあります(国税通則法第65条第5項)。
ただし、修正申告のタイミングや誤りの性質によって適用できない場合もあります。

加算税額が 5,000円未満のとき

過少申告加算税の算出額が 5,000円未満であれば、国税通則法により免除されることがあります。これは「少額不徴収」の規定によるものです。

正当な理由があるとき

自然災害や納税者側の責任がない客観的な事情(例:税務署側の誤指導、法令解釈の変更など)がある場合、加算税が課されないケースも認められています。ただし、その理由を立証できる資料を準備しておく必要があります。

延滞税との関係

過少申告加算税とは別に、延滞税も注意が必要です。延滞税は、納付期限を過ぎて税金を支払わなかった期間に応じて発生する税金で、利息のような性格を持ちます。

追加納税を求められた際には、過少申告加算税 + 延滞税の両方を納める可能性があります。
延滞税の計算は、納期限の翌日から納付日までの日数を基に行われ、期間が長くなるほど割増率が変わります。

まとめ:正確な申告と早期修正でリスクを回避

過少申告加算税は、税額を少なく申告してしまった場合に課されるペナルティです。
意図的な脱税だけでなく、単純なミスや見落としでも適用される可能性があります。
ただし、 税務署の通知前に自主的に修正申告を行ったり正当な理由を立てたりすれば、加算税が免除または軽減されるケースもあります。

さらに参照してください:

季節関税とは?仕組み・計算方法・国内産業への影響をわかりやすく解説