株式投資をしていると必ず出てくるのが「配当所得」という言葉です。
聞いたことはあっても、どの所得区分に入り、どんな税金がかかるのか、確定申告は必要なのかまでは意外と知られていません。
この記事では、会計と税務の専門知識をベースに、配当所得の基礎をわかりやすく整理して解説します。
配当所得とは?税法上の「所得区分」のひとつ
配当所得とは、所得税における課税所得の一つで、次のような配当に対して発生する所得です。
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株主や出資者が法人から受ける配当
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公社債投資信託および公社債等運用投資信託以外の投資信託の分配金
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特定受益証券発行信託からの収益分配
いわゆる「株の配当」だけではなく、特定の投資信託からの分配金なども配当所得に含まれます。
配当所得は確定申告が必要?不要制度も選べる
原則として、配当所得は確定申告の対象です。
ただし「確定申告不要制度」を選択することもできます。
確定申告不要制度とは?
支払時に源泉徴収された税金で完結させ、確定申告をしない方法です。
ポイントは次の2つです。
・配当ごと(1回の支払単位)に選択できる
・確定申告不要を選んだ配当については、源泉徴収された税金を年末に他の税金から差し引くことはできない
「手間をかけずに配当を受け取りたい」という人には便利な制度ですが、節税につながる場合は申告したほうが有利なケースもあります。
上場株式の配当所得|総合課税か申告分離課税を選択
上場株式の配当所得については、次のどちらかを選ぶ必要があります。
・総合課税
・申告分離課税
どちらが良いかは、その年の所得状況や控除の適用可否によって変わります。
申告分離課税の税率
平成26年1月1日以後の上場株式の配当には、以下の税率(合計20.315%)が適用されます。
・所得税・復興特別所得税:15.315%
・住民税:5%
源泉徴収も同じ税率で行われています。
また、申告分離課税を選んだ場合は「配当控除」は適用されません。
総合課税を選ぶと配当控除が使えるため、所得が低めの人では総合課税のほうが有利になるケースもあります。
配当所得の計算方法
配当所得は次の式で求められます。
収入金額(源泉徴収前)
− 株式取得のための借入金の利子
= 配当所得の金額
ここで控除できる「借入金の利子」には注意が必要です。
・その年の保有期間に対応する部分のみ
・譲渡した株式に係るものは対象外
・確定申告不要制度を選択した配当には適用されない
条件に当てはまらない利子は控除できない点に気をつけましょう。
配当所得が少額の場合は申告不要になるケースも
上場株式以外の配当等の場合は、配当額が一定以下であれば申告は不要です。
計算式はこちら。
10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12
例えば配当計算期間が6か月なら、
10万円 × 6 ÷ 12 = 5万円以下なら申告不要となります。
「少額の配当だけ持っている人」を過度に負担させないためのルールです。
まとめ|配当所得は税制の選択で手取り額が変わる
配当所得は理解してしまえば難しくありませんが、申告方法によって税負担が変わるため、初心者にとっては迷いやすいポイントです。
・上場株式は総合課税と申告分離課税を選べる
・確定申告不要制度も配当ごとに選択可能
・配当控除を使うかどうかで有利不利が変わる
・一定以下の金額なら申告不要
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