「金融資産」とは何かと聞かれて、すぐに説明できる人は意外と少ないかもしれません。
株式や預金など身近な資産もあれば、デリバティブのような専門的な取引も含まれます。
本記事では、会計実務経験をもとに、金融資産の定義・種類・金融負債との違いをわかりやすく解説します。
金融資産とは
金融資産とは、資産のうち「土地・建物・設備などの実物資産」を除いたものを指します。
つまり、「お金に換えられる権利」や「将来の収入を得る権利」を持つ資産のことです。
具体的には、以下のようなものが金融資産に分類されます。
企業会計における金融資産
企業の会計上、金融資産には次のようなものがあります。
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現金・預金
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売掛金、受取手形、貸付金などの金銭債権
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株式、出資証券、公社債などの有価証券
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先物取引、オプション取引、スワップ取引などの金融派生商品(デリバティブ)
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これらの取引により発生する正味の債権
企業の場合、これらの金融資産は貸借対照表において「流動資産」または「固定資産」として区分され、資金管理や投資判断において重要な役割を果たします。
家計における金融資産
個人や家庭においても、金融資産は日常生活と密接に関わっています。
主な例は次の通りです。
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現金・預金
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株式・出資金
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国債・投資信託などの証券類
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生命保険や年金の積立金(保険準備金・年金準備金)
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ゴルフ会員権などの預託金
これらはすべて「現金化できる権利」を持つ資産であり、家計の安定や老後資金の形成に大きく関係します。
金融負債との違い
金融資産と対になる概念が「金融負債」です。
金融負債とは、将来お金を支払う義務を伴う負債を意味します。
代表的な金融負債の例:
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支払手形
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買掛金
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借入金
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社債
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リース債務
つまり、金融資産が「お金を受け取る権利」なのに対し、金融負債は「お金を支払う義務」と言えます。
実物資産との境界は?
一部の金融資産には、実物資産的な性質を持つものもあります。
たとえば、
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不動産を担保とした抵当証券
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企業の事業活動や実物資産を基礎とする株式
このように、金融資産と実物資産の境界は明確ではなく、目的や性質に応じて分類が変わる場合もあります。
実務上は「換金性」や「リスクの所在」によって判断するのが一般的です。
まとめ
金融資産とは、企業や個人が保有する「お金の権利」を表す資産のことです。
企業会計では経営分析や資金繰りの指標として、家計では将来の生活設計における基盤として重要な役割を果たします。
金融資産を正しく理解し、金融負債や実物資産との違いを把握することで、より正確な資産管理・経営判断が可能になります。
特に企業経営者や個人事業主にとって、金融資産の管理は「財務の見える化」の第一歩といえるでしょう。
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