生計維持とは

「生計維持」とは?条件や具体例を専門家が解説

年金の手続きや説明でよく出てくる用語の一つが「生計維持(せいけいいじ)」。
「配偶者や子どもが生計維持にあるかどうか」で、加給年金や遺族年金などの受給要件が決まることがあります。
しかし、具体的にどのような条件を満たせば「生計維持」と判断されるのか、わかりにくいと感じる方も多いでしょう。

✅ 「生計維持」とは?

「生計を維持されている」とは、一定の生活的・経済的なつながりがあり、かつ収入要件を満たしている状態をいいます。
年金制度では、次の2つの要件をどちらも満たす必要があります。

1. 生計を同じくしていること

  • 原則として同居していること。

  • 別居していても、以下の場合は「生計を同じくしている」と認められます。

    • 仕送りをしている

    • 健康保険の扶養親族になっている

    • 定期的に生活費を負担している

2. 収入要件を満たしていること

  • 前年の収入が 850万円未満

  • または前年の所得が 655万5千円未満

この基準を超える収入があると、「生計維持」とは認められません。

✅ 「生計維持」が重要になる場面

年金制度では「生計維持の有無」が大きく影響します。

  • 加給年金額
    厚生年金保険の受給者に配偶者や子どもがいて「生計維持」と認められれば、加算が受けられる。

  • 遺族年金
    遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給要件として、子どもや配偶者が被保険者と「生計維持関係」にあったかどうかが確認される。

  • 扶養親族認定
    所得税や社会保険上の扶養判定でも、「生計維持」という概念が共通して用いられる。

 

✅ 具体例で理解する「生計維持」

例1:妻と同居しており、妻の年間収入が200万円 → 生計維持と認められる
例2:大学生の子どもに仕送りをしていて、子の収入がアルバイトで年間80万円 → 生計維持と認められる
例3:別居している配偶者の収入が年収900万円 → 収入基準を超えるため、生計維持と認められない

✅ まとめ

  • 「生計維持」とは 生活を共にし、かつ収入基準を満たしていること

  • 年金制度において、加給年金や遺族年金の支給要件に大きく関わる

  • 別居していても仕送りや扶養関係があれば認められる場合がある

  • 収入要件は「年収850万円未満」または「所得655.5万円未満」

年金制度を正しく理解するためには、「生計維持」の意味をしっかり押さえることが大切です。ご自身やご家族がどの条件に当てはまるのか、事前に確認しておきましょう。

さらに参照してください:

総報酬制とは?厚生年金における仕組みとメリットをわかりやすく解説