企業が保有する有価証券は目的によって分類が異なり、その中でも“その他有価証券”は実務で最も利用される項目です。
本記事では、その他有価証券の意味、仕訳方法、決算時の「その他有価証券評価差額金」の扱いまで、会計初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
税効果会計や洗替法・切放法など、試験や実務でよく出るポイントも一緒に整理していきましょう。
▶ その他有価証券とは?
その他有価証券とは、以下の3つ以外の有価証券をまとめた分類です。
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売買目的有価証券
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満期保有目的債券
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子会社株式・関連会社株式
つまり、株式・社債・国債などを保有する際、投資目的であって短期売買や子会社支配などに該当しない場合は「その他有価証券」として処理します。
▼ 分類と貸借対照表の表示
| 区分 | 科目 | 表示区分 |
|---|---|---|
| 1年以内に満期となるその他有価証券 | 有価証券 | 流動資産 |
| 1年超で満期となるその他有価証券 | 投資有価証券 | 投資その他の資産 |
債券の場合は1年基準が適用され、満期までの期間で流動/固定に区分します。
▶ その他有価証券購入時の仕訳(基本)
企業が50,000円分のその他有価証券を購入した場合は、次のように記帳します。
借方|その他有価証券 50,000
貸方|現金 50,000
資産の増加は借方で処理することを押さえておきましょう。
▶ その他有価証券評価差額金とは?
その他有価証券は決算時に時価で評価替えを行います。その結果生じる評価差額を、純資産の部に計上する勘定科目が以下です。
✔ その他有価証券評価差額金
→その他有価証券を時価評価した際の差額を、純資産に直接計上する項目。
ポイントは、
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税効果会計を適用し、繰延税金資産・負債を同時に計上
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評価差額は損益計算書を通さず、純資産に直接反映(全部純資産直入法)
という点です。
▶ 決算時の仕訳:時価が取得原価を上回る場合
例:
取得原価 50,000
期末時価 55,000
評価益 5,000
税率 40%
→ 繰延税金負債 2,000
→ 評価差額金 3,000
借方|その他有価証券 5,000
貸方|繰延税金負債 2,000
貸方|その他有価証券評価差額金 3,000
▶ 時価が取得原価を下回る場合
取得原価 50,000
期末時価 45,000
評価損 5,000
→ 繰延税金資産 2,000
→ 評価差額金(マイナス)−3,000
借方|繰延税金資産 2,000
借方|その他有価証券評価差額金 3,000
貸方|その他有価証券 5,000
評価差額金は純資産のマイナスとして処理されます。
▶ 部分純資産直入法(参考)
時価が取得原価を下回る場合に、損益処理する方法です。
例:
評価損 5,000
税率 40%
借方|有価証券評価損 5,000
貸方|その他有価証券 5,000
借方|繰延税金資産 2,000
貸方|法人税等調整額 2,000
※原則は「全部純資産直入法」ですが、継続適用を条件に選択可能。
▶ 翌期首の仕訳:洗替法と切放法
その他有価証券は、翌期首に評価差額をどう扱うかで処理が異なります。
✔ 洗替法(翌期首に戻す)
決算時の仕訳を逆仕訳して帳簿価額を取得原価に戻す方法。
例:時価が取得原価を上回った場合
借方|繰延税金負債 2,000
借方|その他有価証券評価差額金 3,000
貸方|その他有価証券 5,000
✔ 切放法(翌期首仕訳なし)
期末の時価を翌期の帳簿価額として採用。
翌期首に仕訳を行わない方法。
▶ まとめ:その他有価証券は時価評価と税効果が最大のポイント
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「その他有価証券」は目的によって分類される有価証券の一つ
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決算時に時価評価を行い、差額は純資産の部「その他有価証券評価差額金」へ計上
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税効果会計がセットで必要
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翌期首は「洗替法」「切放法」どちらも選択可能
その他有価証券は実務で頻出するテーマですが、仕訳の流れを押さえれば複雑ではありません。
投資価額の変動が財務諸表にどう反映されるか理解することで、より精度の高い財務分析が可能になります。
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