企業が事業を運営するうえで欠かせないのが「オペックス(OPEX)」です。
財務会計や経営管理の分野でよく登場する用語ですが、キャペックス(CAPEX=資本的支出)との違いがわかりにくいと感じる方も多いでしょう。
この記事では、オペックスの意味、具体例、キャペックスとの違い、さらに経営戦略との関わりについてわかりやすく解説します。
オペックス(OPEX)とは?
オペックス(Operating Expense)とは、企業が事業を運営していくために継続的に必要とする費用の総称です。
日本語では「事業運営費」「業務費」「運営コスト」とも呼ばれ、一般的には「ランニングコスト」にあたります。
オペックスに含まれる費用の例
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人件費(給与や社会保険料など)
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光熱費(電気・ガス・水道代)
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オフィスや設備の維持費
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広告宣伝費や販売促進費
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不動産事業の場合:固定資産税や都市計画税、建物の修繕・メンテナンス費用
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クラウドサービス利用料
一方で、支払利息や減価償却費はオペックスには含まれません。
キャペックス(CAPEX)との違い
オペックスとよく比較されるのが「キャペックス(CAPEX=Capital Expenditure、資本的支出)」です。
| 項目 | オペックス(OPEX) | キャペックス(CAPEX) |
|---|---|---|
| 内容 | 事業を運営するための継続的な費用(ランニングコスト) | 設備投資や資産取得のための一時的支出 |
| 例 | 人件費、保険料、修繕費、クラウド利用料 | 工場建設、機械設備の購入、システム導入 |
| 特徴 | 費用として発生時に損益計算書に計上される | 資産計上され、減価償却で長期にわたり費用化 |
つまり、オペックスは「使ったらすぐに費用になるお金」、キャペックスは「資産として計上し、時間をかけて費用化されるお金」と理解するとわかりやすいでしょう。
オペックスの具体的な活用例
① ITシステムの導入
従来はサーバーを購入し、自社で管理する「キャペックス型投資」が一般的でした。
しかし現在では、AWSやGoogle Cloudなどのクラウドサービスを利用する「オペックス型支出」が増えています。
👉 これにより、企業は必要な時に必要な分だけ利用料を支払い、柔軟にシステムを拡張・縮小できます。
② 装置産業とサービス産業の違い
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装置産業(製造業や発電所など):巨額の設備投資が必要=キャペックス中心
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MVNO(格安SIM事業者)など:自前で設備を持たず、他社のインフラを借りてサービス提供=オペックス中心
経営戦略におけるオペックスの重要性
近年、企業は「キャペックスからオペックスへ」の流れを強めています。
理由
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技術革新のスピードが速い分野(ITや通信)では設備がすぐ陳腐化するため、キャペックスのリスクが高い
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オペックス型の支出は契約内容を柔軟に変更できるため、経営の機動性を確保できる
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「アセットライト経営」(資産を持たない経営)を志向する企業が増加
そのため、オペックスをうまくコントロールすることは、経営の柔軟性・資金繰り・リスク管理に直結する重要なテーマになっています。
まとめ
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オペックス(OPEX)=事業運営に必要な継続的な費用(ランニングコスト)
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キャペックス(CAPEX)は「資本的支出」であり、オペックスとは性質が異なる
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例:クラウドサービス利用料はオペックス、サーバー購入はキャペックス
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技術革新の速い分野では「キャペックスからオペックスへ」の流れが強まっている
オペックスを正しく理解することは、企業の財務分析や投資判断に欠かせません。経営者や経理担当者だけでなく、投資家にとっても重要な知識といえるでしょう。
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