カバー取引(カバーとりひき)とは、FX会社や証券会社が、顧客から受けた注文と同じ、またはそれに近い注文を銀行などの金融機関に発注する取引のことです。
カバーディールとも呼ばれ、FX会社が為替変動によるリスクを回避するために行われます。
日本のFX取引においては、非常に重要な仕組みのひとつです。
カバー取引の基本的な仕組み
FX会社は、顧客から売買注文を受けると、その注文をそのまま社内で処理するのではなく、インターバンク市場や提携金融機関へ同様の注文を出す場合があります。
この外部市場への取引が、カバー取引です。
例えば、顧客が米ドル/円を買った場合、FX会社は銀行に対して米ドル/円の買い注文を出します。
これにより、FX会社自身は為替レートの変動による損益を受けにくくなります。
なぜFX会社はカバー取引を行うのか
為替変動リスクを回避するため
FX会社が顧客の注文をすべて自社内で処理すると、
相場が一方向に大きく動いた場合、会社側が大きな損失を被る可能性があります。
カバー取引を行うことで、
顧客の損益とFX会社の損益を切り離し、為替変動リスクをヘッジできます。
安定した取引環境を提供するため
カバー取引を適切に行うことで、
FX会社はスプレッドや約定力を安定させやすくなります。
これは、トレーダーにとっても
安心して取引できる環境につながります。
カバー取引とディーリングの違い
FX会社の注文処理方法には、大きく分けて2つあります。
・顧客注文をそのまま外部市場へ流す「カバー取引」
・顧客注文を社内で相殺する「ディーリング(ノーカバー)」
カバー取引では、FX会社は顧客の勝ち負けに直接関与しにくい構造になります。
一方、ディーリング方式では、顧客の損失がFX会社の利益になるケースもあります。
日本では、金融庁の監督下にあり、
どちらの方式であってもルールに沿った運営が求められています。
FX初心者が知っておくべきカバー取引の注意点
カバー取引が行われているからといって、
必ずしもすべての注文が同条件で外部市場に流されるとは限りません。
相場が急変した場合や、流動性が低い時間帯では、
約定価格にズレが生じる可能性もあります。
そのため、FX初心者は
スプレッドの広がりや約定力、取引環境にも注意することが重要です。
まとめ|カバー取引はFX会社と投資家を守る仕組み
カバー取引は、FX会社が顧客注文に対する為替変動リスクを回避するための重要な取引手法です。
この仕組みにより、FX会社は安定した取引環境を提供しやすくなります。
FX初心者であっても、取引の裏側にあるカバー取引の仕組みを理解しておくことで、より安心してFXに取り組むことができます。
こちらもご覧ください

