チルメル式責任準備金(ちるめるしきせきにんじゅんびきん)とは、生命保険会社が保険金の支払いに備えて積み立てる「責任準備金」の計算・積立方法のひとつです。
ドイツのアクチュアリー(保険数理士)であるチルメルが1863年に提案しました。
責任準備金とは?
生命保険会社は、契約者から受け取った保険料の一部を、将来の保険金や年金、給付金の支払いに備えて積み立てています。
これを責任準備金といいます。
保険会社の財務の健全性を保ち、契約者への支払いを確実にするための重要な仕組みです。
チルメル式の特徴
チルメル式責任準備金の大きな特徴は、契約1年目の積立額を少なめにし、その分だけ付加保険料(事務費や営業経費などに充てられる部分)を多く設定する点です。
メリット
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初年度に多くの付加保険料を確保できるため、営業や事務コストを早期に回収しやすい
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保険会社にとって初年度の資金負担が軽くなる
デメリット
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初年度の積立額が少ないため、長期的な責任準備金の積み増しが必要
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契約初期の解約返戻金が少なくなる傾向がある
他方式との比較:「平準純保険料方式」
責任準備金の積立方法には、平準純保険料方式もあります。
これは契約初年度から最終年度まで、保険料の中で「純保険料」と「付加保険料」の割合を一定に保つ方法です。
契約初期の積立額が多くなるため、解約返戻金も比較的早い段階から確保されます。
積立方法 | 初年度の積立額 | 付加保険料の割合 | 解約返戻金の傾向 |
---|---|---|---|
チルメル式 | 少なめ | 多め | 初期は少ない |
平準純保険料方式 | 多め | 一定 | 初期から比較的多い |
例:チルメル式のイメージ
例えば、年間保険料が20万円の契約の場合
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チルメル式:1年目は積立に5万円、付加保険料に15万円
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平準純保険料方式:1年目から積立に10万円、付加保険料に10万円
このように、チルメル式は初年度に経費回収を優先し、後半で積立を増やす形になります。
まとめ
チルメル式責任準備金は、保険会社の経費回収を早期に行える一方、契約初期の積立額が少なくなる仕組みです。
保険商品の仕組みや解約返戻金の推移を理解するためにも、この積立方式の特徴を知っておくことは大切です。
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