会社が複数の事業所を運営している場合、厚生年金や健康保険の適用手続きを効率化できる仕組みとして「一括適用事業所(いっかつてきようじぎょうしょ)」があります。
この記事では、一括適用事業所の概要や承認を受けるための基準を、初心者にもわかりやすく解説します。
一括適用事業所とは?
通常、会社が複数の事業所を持っている場合、それぞれの事業所ごとに「適用事業所」として厚生年金や健康保険の手続きを行う必要があります。
しかし、事業主が同一である複数の事業所について、厚生労働大臣の承認を受けると「一括適用事業所」としてまとめることが可能です。
この承認を受けると、各事業所は「法律上当然に保険関係が成立する強制適用事業所」とは見なされなくなり、一つの大きな事業所としてまとめて保険関係を処理できるようになります。
一括適用の承認基準
一括適用事業所として承認を受けるには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
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人事・労務・給与事務の集中管理
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複数の事業所で働くすべての従業員の人事・労務・給与の事務が、電子計算組織(システム)によって一括管理されていること。
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事業主が行うべき届出等が所定の期間内に適切に処理できる体制が整っていること。
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電子申請が可能であること
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被保険者の資格取得や喪失などの届出を、電子媒体または電子情報処理組織を使って行えること。
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健康保険の保険者が同一であること
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事業所ごとに異なる健康保険組合を利用している場合は一括適用できません。
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厚生年金・健康保険事業の運営に支障がないこと
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一括適用によって、年金や健康保険の事業運営が著しく阻害されないこと。
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協会けんぽの場合は健康保険の承認申請も必要
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協会けんぽ(全国健康保険協会)の適用となっている場合は、健康保険についても同時に一括適用の承認申請を行う必要があります。
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一括適用事業所のメリット
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事務手続きの効率化
→ 各事業所ごとにバラバラで行っていた年金や健康保険の手続きをまとめられるため、管理コストが削減されます。 -
届出業務の一元化
→ 電子申請を前提としているため、迅速かつ正確な届出が可能になります。 -
コンプライアンスの強化
→ 集中的な管理により、保険料納付や届出漏れのリスクを軽減できます。
まとめ
一括適用事業所とは、同一の事業主が運営する複数の事業所をまとめて一つの適用事業所として扱える制度です。
承認を受けるためには、電子申請の体制や健康保険の統一など、いくつかの基準を満たす必要があります。
特に、全国規模で複数拠点を持つ企業や、事務処理を効率化したい事業主にとって有効な仕組みです。
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