夫を亡くした妻が受け取る遺族年金には、いくつかの加算制度があります。
その中でも「中高齢寡婦加算」は、子どものいない妻や子の成長によって遺族基礎年金が受けられなくなった妻を支える大切な仕組みです。この記事では、中高齢寡婦加算の条件や金額、注意点を専門家の視点でわかりやすく解説します。
中高齢寡婦加算とは?
中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)とは、**夫の死亡時に40歳以上65歳未満で、子のない妻(または子がいてもその子がすでに年齢要件を満たして支給対象外になった妻)**が受け取ることができる「遺族厚生年金への上乗せ給付」です。
遺族基礎年金は子どものいない妻には原則支給されません。そのため、40歳以上の妻に一定の所得保障を行う目的で設けられているのがこの加算制度です。
受給できる条件
中高齢寡婦加算を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
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夫が死亡した時点で妻が40歳以上65歳未満であること
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夫に厚生年金の被保険者期間が20年以上あること
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ただし、「特例」により20年未満でも老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている場合は対象。
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子がいない、または子がいてもすでに18歳(年度末まで)または20歳(障害等級1・2級)の年齢要件を超えていること
支給金額
中高齢寡婦加算は「定額」で支給されます。
2025年度(令和7年度)の支給額は 年額約 585,100円(月額約48,758円) です。
※物価スライドによって毎年金額が改定されるため、最新の情報を確認することが重要です。
支給期間
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開始時期:夫の死亡時に40歳以上であれば、その時点から支給。
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終了時期:妻が65歳に達した時点で支給は終了。
→ 65歳からは自分の「老齢基礎年金」を受け取れるようになるためです。
注意点とよくある誤解
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遺族基礎年金がある場合は加算されない
→ 子どもが18歳未満の間は遺族基礎年金が優先され、中高齢寡婦加算は加算されません。 -
65歳以降は支給されない
→ 老齢基礎年金に切り替わるため。 -
夫の加入期間が重要
→ 厚生年金期間が20年以上あるか、または特例で要件を満たしているかが確認のポイントです。
まとめ
中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満で夫を亡くした妻に対して生活の安定を支えるための大切な仕組みです。
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対象:夫の死亡時に40歳以上65歳未満の妻(子なし、または子が年齢要件を満たさなくなった場合)
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金額:年額約58万円(2025年度)
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支給期間:65歳になるまで
ご自身やご家族が条件に当てはまるかどうか、早めに年金事務所で確認することをおすすめします。
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