交通事故には「物損事故」や「人身事故」など、いくつかの種類がありますが、その違いや対応について正しく理解していますか?
特に「人身事故(じんしんじこ)」は、ケガや死亡といった“人的被害”が発生する重大な事故であり、加害者には重い責任が課されます。
この記事では、初めての方にもわかりやすく、「人身事故とは何か」「物損事故との違い」「加害者の責任」「事故後の流れ」などを丁寧に解説していきます。
人身事故とは?
人身事故とは、交通事故のうち、人がケガをしたり亡くなったりする事故のことです。
✅ 人身事故に該当する例
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自動車と歩行者が接触し、歩行者がケガをした
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バイクとの衝突事故で相手が骨折
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自転車同士の事故で相手が入院
※逆に、車同士の接触で車体が壊れただけ、壁にぶつかっただけといった事故は「物損事故」に分類されます。
【比較表】人身事故と物損事故の違い
項目 | 人身事故 | 物損事故 |
---|---|---|
発生する被害 | 人的被害(ケガ・死亡) | 物的被害(車・建物・ガードレールなど) |
警察の扱い | 刑事事件として扱われる | 民事のみの扱い |
罰則 | 刑事・行政処分あり | 原則として刑事・行政処分なし |
示談の対象 | 損害賠償(治療費、慰謝料など)を含む | 修理費や損壊物の費用など |
人身事故を起こすとどうなる?|加害者が負う3つの責任
人身事故を起こしてしまった場合、加害者には以下の3つの責任が生じます。
① 民事上の責任(損害賠償)
被害者の治療費・休業損害・慰謝料など、実際に生じた損害に対して金銭的な賠償を行う義務があります。
例:
「通院6ヶ月、仕事を3ヶ月休んだ被害者に対し、200万円以上の賠償が発生する」など
通常は**任意保険(対人賠償責任保険など)**で補償されますが、未加入だと加害者自身が全額支払うことになります。
② 刑事上の責任(罰則・刑罰)
ケガや死亡を引き起こした場合、加害者は刑事罰の対象になります。内容は以下の通りです。
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道路交通法違反(安全運転義務違反、信号無視など)
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自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷罪 など)
罰金刑、禁錮刑、懲役刑が科せられることもあり、事故の程度や加害者の過失の大きさによって処分が異なります。
③ 行政上の責任(免許停止・取り消しなど)
運転免許に対して、以下のような行政処分が下されます。
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違反点数の加算
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免許停止・取消
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交通反則金の支払い
事故の内容によっては、一発で免許取り消しになるケースもあります。
人身事故後の流れ|警察対応から保険請求まで
人身事故が発生した場合、以下の手順で対応することが一般的です。
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負傷者の救護・119番通報
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まずはケガ人の救護が最優先
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警察への届け出(110番)
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人身事故の場合、必ず現場検証と事故証明が必要です
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被害者への対応
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謝罪や連絡など、誠意ある対応が求められます
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保険会社への連絡・事故報告
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早めに保険会社へ連絡し、損害賠償に向けた準備を開始
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示談交渉・賠償手続き
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治療費・慰謝料・休業損害などについて話し合い
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【補足】物損事故が人身事故に変わることも?
事故当初は物損事故として処理されていても、後から被害者が「首が痛い」「通院が必要」と申し出た場合、人身事故に切り替わるケースがあります。
このような場合、加害者には新たに行政処分や刑事責任が生じる可能性があるため、慎重な対応が求められます。
よくある質問(FAQ)
Q. 軽いケガでも人身事故になりますか?
はい。診断書が発行されるようなケガ(打撲・捻挫など)でも人身事故扱いとなります。
Q. 被害者が加害者を許せば処分は軽くなりますか?
示談が成立すると、刑事処分が軽くなることがあります。ただし、処分の有無や内容は警察・検察の判断によります。
Q. 免許取消になる基準は?
死亡事故や重大な過失による事故の場合は免許取消の可能性が高くなります。違反点数の蓄積も影響します。
まとめ|人身事故は責任が重く、慎重な対応が必要
人身事故は、人命や健康に関わる重大な交通事故であり、加害者には民事・刑事・行政の三重の責任が発生します。
事故を起こさないのが何より大切ですが、万が一の際には、冷静な対応と誠意ある行動が重要です。また、被害者・加害者ともに十分な補償が受けられるよう、任意保険への加入も忘れずに備えておきましょう。
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