「仕入割引」という言葉を聞いたことはあっても、実際に会計処理でどのように扱うのか、初心者には少しわかりにくいかもしれません。
日常の買い物での値引きとは異なり、会計上の仕入割引は「買掛金を支払期日より前に支払った場合に受けられる割引」を指します。
本記事では、仕入割引の基本から具体的な仕訳方法、そして似た用語である割戻や値引との違いまで、わかりやすく解説します。
仕入割引とは?
仕入割引とは、仕入先への代金支払いを支払期日より前に行った場合に、利息相当額として支払金額が減額される仕組みです。つまり「早く払ったから割引してもらえる」という考え方です。
ポイント:
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支払期日より前に代金を支払うと受けられる
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減額分は損益計算書上「営業外収益」として処理
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「仕入」とついていても、仕入高から控除しない
仕入割引は損益計算書のどこに計上する?
仕入割引は利息的な性格を持つため、損益計算書上は営業外収益として計上します。注意点として、「仕入」という名前がついているからといって仕入高から差し引くのは誤りです。
販売側の場合は、売掛金の一部を減額するため、売上割引として営業外費用で処理します。
仕入割引と消費税の取り扱い
仕入割引は会計上は営業外収益ですが、消費税法上は課税取引に該当します。
「仕入れに係る対価の返還等」にあたるため、割引にかかる消費税は仕入高のマイナス項目として処理します。
仕入割引の具体的な仕訳例
例えば、A社がB社から100,000円の商品を7月10日に仕入れ、7月20日に支払った場合で、支払いが早期だったため137円の割引を受けたとします。
仕訳例(仕入側 A社)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 100,000 | 当座預金 | 99,863 |
| 仕入割引 | 137 |
ポイント:
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割引分は「仕入割引」として営業外収益に計上
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仕入高から控除しない
間違いやすい仕入割戻・値引との違い
同じく価格を下げる意味を持つ「仕入割戻(リベート)」や「仕入値引」と混同しやすいですが、目的が異なります。
1. 仕入割戻(リベート)
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大量仕入れや一定期間の購入に応じて、代金の一部が返還されるもの
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会計上は仕入や買掛金から控除する
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例:500,000円の仕入で5%の割戻 → 仕訳は買掛金25,000円 / 仕入25,000円
2. 仕入値引
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商品の傷や汚れなどにより後から値引きされる場合
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会計処理は割戻と同様で、購入時の仕訳を逆仕訳する
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例:50,000円の仕入で3,000円値引 → 買掛金3,000円 / 仕入3,000円
まとめ:仕入割引を正しく理解しよう
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仕入割引は早期支払いによる利息相当額で、営業外収益として計上
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消費税法上は課税取引で、仕入高のマイナスとして処理
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割戻・値引とは目的と仕訳方法が異なるため注意が必要
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勘定科目を正しく理解することで、貸借対照表や損益計算書の作成もスムーズに
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